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2014.11.10更新

90歳以上2割死後請求なく未払い

 生命保険に入っていた高齢者が亡くなったことを保険会社が把握せず、遺族らが保険金を受け取っていない事例が多いことが、生命保険大手の調べでわかった。保険金の受取り人がすでに亡くなっていたり、認知症などを患ったりして、請求できないことが増えているためだ。

他社も調査検討

 明治安田生命保険会社が昨年以降、90歳以上の契約者約1万1千人のほぼ全員を調べたところ、2割弱にあたる約2千人はすでに亡くなっていて、保険金を払っていなかった。大半は、保険料の払い込みが終わっており、亡くなるまで契約内容が適用される終身保険だ。総額はわかっていないが、専門家らによると、高齢者の保険金の平均は300万円程度とみられ、2千人分だと計約60億円になる。
 第一生命も、2年前に91歳以上の契約者に電話調査し、連絡がついた約7割のうち数%の契約者の保険金を払っていないことがわかったという。明治安田と第一は、保険金の払い漏れがわかった時点で受取人がだれか調べ、すでに大半の支払いを終えたとしている。
 最大手の日本生命保険と住友生命保険の2社も年内の調査を検討しており、支払い漏れはさらに増えそうだ。
 明治安田の調査で支払い漏れがわかった福岡市の80代の男性は、2007年に亡くなっていた。保険金の受取人だった妻は、さらにその7年前に他界していた。夫婦には子どもがなく、保険金は、法律で相続が認められている親族ら(法定相続人)が受け取る。担当者は戸籍を調べて親類を割り出し、保険金のことを伝えたが、「振り込め詐欺と間違えられ、なかなか信じてもらえなかった」という。
 保険会社は、受取人らから請求がなければ保険金を払う義務は生じないが、契約者が亡くなったことがわかれば受取人らに知らせて払うようにしている。
 契約者が保険料を払っている間は、支払いが滞るなどして亡くなったことがわかるが、保険料の支払いが終わった高齢者の場合は、転居などで連絡が途絶えていることもある。請求がなければ、保険会社が契約者の死亡を把握するのは難しく、支払い漏れが起きる可能性が高くなる。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.11.07更新

ウィルス原因「ネット上で偽画面」相次ぐ

 パソコンに感染したコンピューターウィルスが原因でクレジットカード情報を盗まれ、身に覚えのない買い物をされる被害が相次いでいる。被害が急増しているインターネットバンキングによる不正送金と手口が共通しており、100万円を超える買い物をされたケースもあった。カード会社や業界団体は利用者にウイルス対策ソフトの導入などをよびかけている。
 パソコンがウイルスに感染していると、月々の利用額の確認などをするためカード会社の正規サイトにアクセスした際、通常は打ち込む必要がないカード情報の入力を求める別の画面が連動して開く。ネットショッピングの際に必要なカード番号や有効期限、セキュリティーコードなどを入力させ、盗み取る手口だ。ネットセキュリティー大手、トレンドマイクロによると、5月ごろから国内で増え始め、6月には同社の対策ソフトが検出しただけで約9300件が確認された。
 ネットセキュリティー会社、セキュアブレインがウイルスを解析したところ、国内の主要なカード会社20社のサイトで別画面が開く仕組みになっていた。
 日本クレジット協会の調べでは、クレジットカードの不正使用による被害は2000年に308億円にに達したが、13年には78億円にまで減少した。
 各社がカードのIC化を進めた結果、カードの磁気情報を盗んで偽造カードを作るスキミング被害が減少したためだ。
 ただ、数年前からメールなどで利用者を偽サイトに誘導する「フィッシング」などネット経由で情報をだまし取る被害が拡大。今回、さらに巧妙な手口のウイルスが確認されたことを受け、協会やカード会社はホームページなどで詳細な手口を紹介するなど注意喚起に乗り出した。
 盗まれた情報で買い物をされた場合の被害は原則カード会社が保証している。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.11.05更新

外国人留学生の採用増加

 埼玉県は今年度から、専業主婦の再就職を支援する「女性就職応援セミナー」を開く。参加した主婦(50)は昨春から仕事をを探す。子どもは小学3年生。午後3時には家に帰る。「家庭とのかねあいを考えると現実はパート。でも、やりたい仕事もあって、ジレンマ」と明かす。
 育児に追われ、働くことをあきらめている女性は13年時点で約100万人とされる。「環境を整えれば働いてもらえる」と今年度の経済財政白書は指摘する。夫と子育てを分担するなどの環境づくりが必要だ。
 高齢者や女性らの就業が進んでも30年には働き手は約300万人も減る試算もある。企業は外国人にも注目する。「サラダを目立つ場所に置きませんか」。先日、東京・築地のローソン。韓国出身の女性社員、李海仁さん(28)が、店長に流暢な日本語で話しかけた。埼玉大を卒業した李さんは10年に入り、今春から店長を指導している。「日本人の接客はすばらしい。日本で働きたかった」
 ローソンは新卒の3割を外国人留学生を正社員として採用。来春からは枠を取り払う。
 就職情報会社のディスコの昨秋の調査では、大小約500社のうち、外国人留学生を採用した企業は13年度は35%。14年度は48%に増える見込み。採用企業の7割超は「優秀な人材を確保するため」とする。
 安倍政権は、外国人実習生にも注目する。しかし、三菱総研の奥村隆一主任研究員は「労働力人口を維持しようと、外国人を数百万人も受け入れるのは国民的な合意を得るのが難しい」と話す。そのうえで「働き手の激減は避けられず、市場の縮小とともに成長の足かせになる」と指摘している。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.31更新

定年も年功序列もなく

こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
 ガスコンロなど調理器具8万点が並ぶ。中古の厨房機器を販売するテンポスバスターズの東京・新宿の旗艦店では、働いている約50人の半分は60〜70代だ。
 営業成績トップの佐藤善治さん(64)は、化粧品の営業職から8年前に転じた。年収は500万円。「自分のことをお客さんが信頼してくれる以上は、やめられない」。同社は2005年に定年制をなくした。成果次第で月給10万円以上の差がつく。年功j序列とは違う実力主義の世界だ。
 30年の労働人口は約5700万人と13年より約900万人減る見通し。高齢者は人口減時代に働き手して期待される。年金の受給開始年齢の引き上げに伴い、社員を65歳まで雇うことも義務づけられ、「60歳定年」は減っていく。
 だが、80年代後半のバブル期に入社した社員をそのまま再雇用すると、人件費は膨らむばかりだ。
 ある製薬大手は7月末、50歳社員を研修のため東京都内に集めた。4人1組机を囲み、お互いのキャリアをふり返ってもらう。ハローワークで、自分の市場価値を知る研修もある。
 再雇用では、定年前より収入が5〜7割減り、「給料が安すぎる」との不満も強かった。自分のキャリアと市場価値を見つめてもらい、「再雇用を望む人には納得したうえで働いてほしい」と人事部は話す。
 以前、定年者の85%にのぼった再雇用の希望者は70%まで減った。「何となく」の希望者はへり、その差15%分の人件費は若手を雇う費用に回せる。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.29更新

会員の間で車を共同利用するカーシェアリング(カーシェア)。車の台数や貸し出し拠点がここ数年で急速に増え、利用しやすくなった。ガソリン代や維持費がかからないなどの利点もある。

スマホで予約、ガソリン代ゼロ

拠点は34%増〜
 カーシェアは1980年代に欧州で始まり、国内では2000年代に入って普及し始めた。自家用車の購入にはまとまった金額が必要な上、ガソリン代や駐車場などの維持コストもかさむ。でも、買い物やレジャーには車を使いたい_そんなニーズに応え、ここ数年で急速に拠点増え、利用者数も伸びている。
 交通エコロジー・モビリティ財団(東京)によると、今年1月時点で車の貸し出し拠点は全国に7568ヵ所。前年同月より34%増えた。台数も1万2373台で1年前よりも40%増え、利用会員61%増の46万人超に達している。
現在、カーシェアを運営する企業・団体は30社ほどある。
 カーシェアを利用するには、まず運営会社の会員となる。パソコンやスマートフォンを使って車の空き状況を確認して予約する。指定の時間になったら駐車場に行き、専用のICカードやスマホで解錠。後は予約時間が終わるまで自由に利用できる。
 車が空いていれば、予約の数分後からすぐ使えて、10〜15分の短時間利用から、数十時間の利用もできる。拠点には1〜5台の車が用意されており、車種は拠点によって異なるがトヨタの「ヴィッツ」や日産の「ノート」といったコンパクト型が中心だ。

サービス競争〜
 カーシェアは、以前は拠点数が限られていたため普及のペースが鈍かったが、「タイムズ」や「三井のリパーク」など全国で駐車場事業を運営する会社が参入し、一気に利用者が伸びた。各社は顧客獲得のため、値下げやサービス強化の動きを活発化させている。
 大手3社のうち、三井物産系のカレコは7月から、走行距離に応じて課金する「距離料金」をなくした。また、以前は予約した時間分の料金を全額支払う必要があったが、6時間以内なら実際に使った分の料金だけとした。
 最王手のタイムズカープラスは4月から新たにポイント制を導入。車をきれいな状態で返却したり、給油をしたりするとポイントがたまる仕組みで、料金割引や予約の優遇サービスをうけられる。

保有よりコスト減〜
 カーシェアの利点は、ガソリン代や保険料がすべて運営会社の負担で、会員には車の維持コストがかからないことだ。
 タイムズカープラスの運営会社パーク24(東京)が一定の条件で試算したところ、約140万円の小型車を自己所有すると月5万円以上の維持費はかかるのに対し、カーシェアなら月36時間利用しても約2万7500円ですむ。年間では30万円近い節約につながるという。
 ただ、注意点もある。利用回数が多ければ、所有よりもコスト高になる場合もある。また、必ずしも希望の時間に借りられるとは限らない。自宅から拠点までの距離が離れていると、荷物の持ち運びや移動が面倒に感じる場合もある。利用にあたっては、こうした点もよく検討したい。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.27更新

税控除の上限額倍検討

 安倍政権は、故郷や応援したい自治体に寄付の形で納税できる「ふるさと納税制度」で、税金の控除を受けられる上限額を倍増させる検討に入った。政権は来春の統一地方選挙をにらみ、地方の自治体は税増収への期待感でざわめくが、税収を取られる都市部の自治体は警戒をする。「特典競争」の過熱を避ける規制も議論になりそうだ。

地方、税収増へ期待感

 「ふるさと納税」をさらに充実させようと提案したのが菅義偉官房長官だ。「もっともっと活用すべきだ。(控除の)額を倍にするとかいろいろな考え方がある」。訪問先の兵庫県小野市でそう語った。
 菅氏は制度の「生みの親」だ。第一次安倍政権で総務相だった時、都市と地方の税収格差を埋める狙いで提案し、2008年に始まった。本来は自分が住んでいる自治体に支払うべき税金の一部を、代わりに自分が選んだ自治体に寄付の形で払うことができる。寄付額から2千円を差し引いた分が、その年の所得税還付と翌年の住民税減税によって本人に戻る仕組みだ。
 住宅ローンの有無や家族構成などで異なるが、例えば年収500万円で夫婦のみの場合では、全額控除される寄付額の目安は3万円。寄付したあとに確定申告すれば2万8千円が戻ってくる。
 人気に火がついたのは各自治体がPRのために、寄付した人に特産品などをプレゼントするようになったためだ。総務省によると控除を受けた人は09年度の約3万3千人から13年度は約10万6千人と3倍超になった。総額も09年度の約73億円から13年度は約130億円へ8割も増えた。
 安倍政権はこの人気を利用して、控除額を倍にすることを検討している。さらに、住んでいる自治体と寄付した自治体同士がやりとりして、確定申告をしなくてもお金が戻ってくるようにする手続きの簡素化も検討している。
 安倍晋三首相はさきごろ、13年度に「納税」獲得額で1位に躍り出た鳥取県を訪ねた。特典として人気の地ビール工場を視察し、「ふるさち納税と特産品を合わせるのはすばらしいやり方だ」と絶賛した。

政権、統一選を意識
都市部は減収を警戒

 集団的自衛権の行使を認める閣議決定の影響で、報道各社で内閣支持率は下降傾向だ。秋には福島、沖縄と二つの重要な知事選が待ち構え、来春には統一地方選も控える。
 政権はふるさと納税など「ローカル・アベノミクス」と銘打って地方対策に力を入れ、支持率回復を狙う。
 しかし、国が財政難のなかで公共事業や地方交付税で支え続けるのは限界がある。やる気のある自治体や地場産業を支え、経済活性化の牽引役となってもらわなくてはならない。
ふるさと納税は、地方の「自助努力」を政府が後押しする典型例との位置付けだ。
 ふるさと納税で控除額を倍増させても、国税が大きくへるわけでもない。そのため、財務省も静観の構えで、政治的なハードルも高くはない。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.24更新

「体験型」充実・予約4言語対応

 旅行大手各社が訪日外国人観光客の獲得を強化している。訪日客は昨年、初めて年間1千万人を突破今年も前年を3割近く上回る過去最高のペースで推移している。各社は外国人需要の取り込みが将来の大きな収益源になるとにらみ、定番の東京や京都などを巡るツアーにとどまらず、体験型ツアーなど品ぞろえの充実を図っている。

 JTBは今年、昨年売り出した体験型ツアー「エクスペリエンスジャパン」のコース数を700と、当初の倍以上に拡充した。訪日客の多くを占めるアジアからのリピーター客を増やすのが狙いだ。
 コース拡充に円安や東南アジア向けのビザ発給要件の緩和が相まって、7〜9月の同ツアーへの申込人数は前年同月比約8〜16倍と大幅に伸びた。特に、「アジアからの訪日客には珍しい、フルーツ狩を組み込んだコースの人気が高い」(同社)という。
 近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを傘下に持つKNTーCTホールディングスは、インターネットを通じた個人旅行の訪日客の集客を強化。同社が運営する訪日客向け宿泊予約のサイトや日帰りなどのバスツアーの予約サイトは、英語や中国語など4言語に対応させた。同社の1〜6月の訪日客向け売上高は前年同月比37%増と好調だ。
 また、日本旅行は、訪日客が日本での宿泊先や観光先を自国の旅行会社を通じて予約する店に着目し、海外の旅行会社との連携に力を入れている。
 訪日客が右肩上がりに増える一方、大手旅行各社の売上高全体に占める訪日客向けの割合は軒並み5%に満たない水準にとどまっており、「伸びしろが大きい」(KNT−CTホールディングス)。各社が訪日客取り込みを強化するのはこのためだ。
 今年の訪日客は「下半期が、上半期(約626万人)と同程度でいけば年間1200万人に達する」(観光庁の久保成人長官)とみられている。
 2020年の東京五輪の開催を控え、日本は世界から注目される旅行先となっており、各社の訪日客争奪戦は今後、ますます、熱気を帯びそうだ。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.22更新

こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
 日ごろの食事で野菜を頻繁に摂取する高齢者にカット野菜を売り込むため、食品大手が品ぞろえや生産体制の拡充に動いている。キューピーはグループの工場の生産設備を増強。カゴメは機能性野菜を使ったシニア向け商品を準備中だ。切る手間が省けるカット野菜は一人暮らしの高齢者らの需要が伸びており、各社はシニア市場に暑い視線を注いでいる。
 「医師から多品目の野菜を毎日食べるように指導されているが、手作りの料理は難しいので助かっています」。キューピー子会社でカット野菜最王手のサラダクラブ(調布市)には、サラダ用カット野菜を食べたという70〜80代の男性から日常的にこんなはがきが届く。担当者は男性の消費者も商品が浸透してきた手ごたえを感じている。
 カット野菜といえば特定のメニューをつくるために必要な野菜が入っている袋詰め商品が多い。店頭ではカレールウや惣菜用調味料とセットで売られている。ただ、最近はドレッシングなどをかけるだけのサラダ用商品もシニア層を中心に人気を集めている。「夫婦二人暮らしになり、生野菜を買っても最後まで使い切れないので便利」という声も多いという。し
 サラダクラブはキューピーが51%三菱商事が49%出資して1999年に設立。「ミックスサラダ」など主にサラダ用のカット野菜を手掛ける。2013年11月期の売上高は206億円で、08年11月期から5年間で2倍に拡大した。それを支えてきたのが健康志向の強い、60歳代以上のシニア層だ。
 需要の増加に伴い、1月に熊本市と群馬県伊勢崎市のグループ工場にそれぞれ数億円を投じ、カット野菜の生産ラインを新設。10億円を投じた広島県三原市の新工場も稼動する。生産拠点は全国16ヵ所になり、生産能力は1日85万パックと2割増になる。
 サラダクラブの商品はキューピーのマヨネーズやドレッシングと一緒にした売り場作りやメニューの提案でスーパーに定着し、全国約1万2000店で取り扱いがある。サラダクラブの萩芳彰社長は「1つの売り場で買い物を済ませられるのも、シニアに支持される理由」と分析する。
 カゴメもシニア層を狙ってサラダ用カット野菜事業に参入する。8月に専業大手、青果の仲卸大手の3社で共同出資会社を設立。約9億円を投じて横浜市に新工場を12月に整備し、栄養価を高めた機能性サラダを売り出す。甘草や発芽大豆、低カリウムレタスなど機能性を高めた野菜を使う。
 袋入り(60グラム前後)を248円、パック詰めを298円に設定。他社より1〜2割ほど高めの価格で売り出す。「健康志向が強いシニア層が主なターゲット。まずは食品スーパー数百店での導入を目指す」(藤井啓吾執行役員)と意気込む。
 サラダクラブによると、13年のサラダ用カット野菜の市場規模は前年比5割増の960億円に拡大。今年は1000億円を超える見通し。農畜産業振興機構が13年にまとめた調査では、週に3回以上カット野菜を購入する割合は30〜39歳が2.1%に対し、60〜79歳は6.7%と一番多い。
 少子化などを背景に国内市場の縮小が見込まれる中、食品業界でもシニア向けは数少ない成長市場。手軽に多彩な野菜を食べたい健康志向の高齢者を喚起する次の一手は何か。各社の知恵比べが続く。
 

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.20更新

こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
 農林水産省はさきごろ、平成25年度のカロリーベースの食料自給率が4年連続で39%になったと発表した。4月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要で国内産のコメの需要が増えた半面、天候不順で小麦と大豆の生産量が減り、自給率は変わらなかった。政府は32年度に自給率を50%に引き上げる目標を掲げるが、達成はほぼ絶望的で、今秋から目標を引き下げる議論を本格的に始める方針だ。

 新指標「自給力」への移行求める声

 農林水産省が5日発表した平成25年度の食料自給率は39%と過去最低に近い水準から抜け出せなかった。政府は32年度に50%に引き上げるという現在の自給率目標の引き下げを検討するが、政府・与党内には自給率に偏重した農政からの脱却を求める声も上がる。
 食料自給率は昭和35年度の79%をピークに序序に低下し、コメの凶作に見舞われた平成5年度に過去最低の37%を記録した。その後は40%以上の回復したが、高齢化や耕作放棄地の拡大など国内農業の生産基盤の弱体化により、18年度に再び40%を割り込んだ。
 現在も米国やドイツ、オーストラリア、韓国などを含む先進国の中で、日本の自給率は最低水準にある。
現在の自給率目標は民主党政権時代の22年に設定されたが、今後、環太平洋戦略的連携協定(TPP)などの経済連携が進み、安価な食品の輸入が増えれば、さらに落ち込む恐れもある。
 25年度の場合、政府がTPPで関税維持の目標を掲げるコメや牛肉・豚肉などの重要5項目は前年度からほぼ横ばいだ。前年度の概算値との比較では、砂糖類が1ポイント増、小麦が1ポイント減で、コメと畜産物は横ばいだった。
 だが、過去との比較が容易な重量ベースに計算した自給率で昭和60年度と比べると、5項目のすべての品目で自給率が減少した。特に米国との「牛肉・オレンジ交渉」で日本側が譲歩して自由化に踏み切った牛肉の減少幅の大きさが目立っている。
 こうした中で、政府内では自給率に替わる指標として、国内の総合的な農業生産力を示す「食料持久力」に軸足を置くべきだとの意見がある。ただ、定義は「緊急事態の時、日本の農業がどれくらいの力を持っているかを表す」などとあいまいで、数値化には課題が残ったままだ。

投稿者: 松村税務会計事務所

2014.10.17更新

日本の若者は起業への意識が希薄_。人材コンサル大手、ヘイズ・グループが世界13ヵ国を対象に実施した調査で、こんな実態が浮かび上がった。「起業に関心なし」との回答が58%に上り、13ヵ国で最高だった。国内の新規株式公開企業数は高水準だが、恒常的な市場活性化には、安定志向が世界的にも突出している若者の意識改革が欠かせない。
 ヘイズは13ヵ国で若者の仕事に対する意識調査を実施した。いずれの国でも18〜30歳を対象に、1000人から回答を得た。
 日本は企業家の予備軍となる「将来の起業を考えている」と回答した層は29%。13ヵ国で最も低かった。「起業がキャリアの主要目標」という回答も10%にとどまり、関心なしの層の多さが際立つ結果だった。

中国とは対照的

これと対照的な結果だったのが中国だ。「将来起業を考えている」は40%と日本の倍の水準だった。逆に、中国では「起業に関心なし」と答えたのは6%ほどしかいなかった。
 ヘイズ・ジャパンのリージョナル・ディレクター、ジョナサン・サンプソン氏は調査結果を踏まえ、「日本の若い世代は危険回避型の思考が強い。政府がグローバル化を進めようとしても、将来リーダーになろうととする若者が少ないのは残念な結果だ」と指摘する。
 調査を裏付けるようなデータがある。
 今年になって日本証券取引所グループの取引所に株式を上場した企業は7月末までに29社。その中で30歳以下の社長が率いる会社はわずか4社だ。10歳刻みの年齢層で最も多かったのが60代の10社で、新規上場した企業の社長の平均年齢は54歳超。20〜30歳代で会社を立ち上げた若手の社長が短期間で事業を急拡大させて、株式上場する成功例は少ない。
 企業成績の改善や株式市場の堅調さを反映し、株式公開をする企業の数は高水準を保っているが、若い企業家の成功例が少ないままでは、安定志向を強める若者が起業を敬遠する傾向は変わらないだろう。優れた事業アイデアを持つ若手を支援して、企業としての成長を促す仕組みが一段と必要になりそうだ。
 日本の若者の安定志向は、調査のほかの設問からも読み取れる。海外での就業機会については44%が「職種がなんであれ関心なし」と回答。「東日本大震災を経験した結果、地元志向が強まっている」(サプソン氏)という変化が影響している側面もありそうだ。
 キャリア成功とは何かを聞く設問では、「仕事での満足」と「雇用安定の獲得」が49%で並んだ。安定した職の獲得が「経済的豊かさ/高い給与」(41%)を上回っている。「安定」を求める回答が上位にあがる国はまれで、日本の若者の傾向が明確になっている。
 調査は目先の給与だけ引き上げても、持続性を感じられる仕事でなければ魅力的とはとらえられない若者の姿を浮き彫りにした。人手不足のなかで、若年層の定着に苦戦する中小企業が多いのには、こうした若者の意識が背景にあるのかもしれない。


投稿者: 松村税務会計事務所

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