厚労省が指針策定へ
職場でのがん検診では効果の確認されていない検査が実施されるなど問題が多いとして、厚生労働省は、科学的根拠に基づく職場検診の実施を促す指針策定の方針を決めた。職場検診に関する指針策定は初めて。さきの専門家会合ワーキンググループで議論がスタート。同省は1年以内に完成を目指す。
職場検診はがん検診受診者の半数以上を占めており、がん対策で重要な役割を果たすことが期待されている。だが、地方自治体による地域住民の検診が健康増進法に基づいて実施しているのに対し、企業や健康保険組合が福利厚生の一環として実施している職場検診には根拠法はなく、詳しい実施状況を把握されていない。検診の有効性は死亡率の減少効果の有無で判断される。厚労省は、効果が確認されたがん検診5種(胃、肺、大腸、乳房、子宮頸部)について、対象年齢や間隔、方法を指針として自治体に推奨している。
しかし、厚労省が健保組合を対象に行った調査では、指針の対象外の若い人にも検診を勧めていたり、指針にない前立腺のPSA検査(血液による検査)を実施したりするなどの状況が明らかになった。健保組合の96%が要精密検査となった受信者の数を把握していないことも分かった。
6月にまとまった第3期がん対策推進計画案は柱の一つに「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」を掲げている。これを受け、がん検診で大きな割合を占める職場検診の改善に向け基準となる指針作りに乗り出した。