厚生労働省が実施する第二次世界大戦の海外戦没者遺骨取集で2011~16年度、海外出張する同省職員に前渡しした約4億6000万円が違法に支出され、約880万円が使途不明となっていた。検査院は同事業での会計処理を「著しく不適正」と指摘。同省は職員の処分を検討している。
同事業は職員をフィリピンなど旧戦地に派遣し、遺骨を掘り出して国内で慰霊する。会計法では海外で経費を払う場合などに限り、出張前に資金を職員に渡して帰国後のを精算を認めている。同事業は現地での車のレンタル料や作業員の人件費を現地業者に支払うため、11~16年度で約9億9000万円の前渡金があった。
検査院が前渡し金状況を調べた結果、職員60人が同法に違反して出国前に約4億6000万円を国内の旅行会社などに手渡ししていた。旅行会社などは現地業者を仲介したとみられ、職員は現地業者名義の領収証を受け取って同省に提出。うち32人は旅行会社に領収証の水増しを指示し、実際に払った金額よりも約880万円多く受け取っていた。
過疎地のバス利用者水増し
過疎地の赤字路線バスの運行を支える国の補助を14、15年度に受けた161路線(6億7454万円)のうち、北海道や京都府などの125路線(4億7714万円)の利用者数が補助要件を満たしていなかった。沿線自治体がバス事業から回数券をまとめて購入し、利用者数が「水増し」された格好になっていた。