香川県が家庭用レシピ集
イノシシとシカ、食べて農作物守る
農作物を守るため駆除した野生動物を家庭で食べる「自家消費」を推進する香川県が、イノシシとシカの肉を使った家庭料理のレシピ集を作成し、配布している。特産のレモンやしょうゆを使った計5品を掲載。担当者は「おいしさを知って、資源を有効に使ってほしい」と話している。
「かがわ里山の恵みレシピ集」と題し、福井県若狭町の料理家、藤本よしこさんが監修した。脂身の多いイノシシ肉は、みそ漬けやレモン煮などを紹介し、シカの赤身のしぐれ煮は「固くならないようにゆっくりと加熱して」とアドバイス。ジビエ(野生鳥獣肉)ならではの傷んだ部分を取り除く「トリミング」や筋膜のとり方も解説する。
香川県はこれまでも捕獲指南書の作成や解体講座の開催など、自家消費文化の拡大に努めてきた。背景には捕獲頭数の急激な増加がある。
1990年度に捕獲されたイノシシは3頭だつたが、2016年度に約1万2千頭まで増加。主に小豆島(小豆島町、土庄町)に生息するシカは党内で91年度に3頭捕獲され、16年度は約1400頭にまで増えた。
県みどり保全課で鳥獣対策を担当する真鍋和恵さんによると、耕作放棄地が増えるにつれ、山から里へ生息域が移ってきた。イノシシやシカを狩って食べる習慣のなかった同県では、食肉とせず大半を埋めている。
「命をごみのように捨てたくない」という真鍋さんら職員の取り組みを、地元農家も評価する。小豆島町の農業、岡田有功さん(47)は「図解が分かりやすく、捕るだけだった人もやってみようと思うのではないか」と話す。
ジビエの食肉利用には適切な下処理と衛生管理が不可欠で、県はレピシ集と共に、解体の解説書をインターネット上で公開している。