所長ブログ

tel_sp.png
メールでのお問い合わせ

2017.09.04更新

いまや時代劇はニッチ

 

 コラムニストで時代劇研究科のペリー荻野さんは、時代劇の将来を、それほど悲観していない。

 「国民的時代劇は、もはや幻ですが、新進の監督や脚本家が、漫画原作物のような、変化球を投げつけている。つくり手の世代交代は途切れていない」

 だれも見たことのない世界を再現する時代劇は、極論すれば、何でもありのファンタジーだという。

 「若い監督がどれだけ奇抜につくろうがOK。その感性に、古参のスタッフが、そう来るかと仰天しながら映像を撮っている」

 予算が乏しく、情熱とアイデア勝負の制作現場は、映画より格下にみられていた黎明期のテレビ時代劇のそれを思い起こさせる。

 「時代劇は今や、ニッチ(すき間)なもの。膨大な映像コンテンツの中に埋もれてしまいがちですが、かならず逸品が隠されている。役者も、だれがチョンマゲを頭に載せるかわからない時代だから、配役の妙も楽しめますよ」

投稿者: 松村税務会計事務所

2017.09.01更新

この世に悪がある限り

 

 国民的テレビ時代劇「水戸黄門」が今秋、TBSで、武田鉄矢さんを主演に迎えて6年ぶりに復活します。私の望みは、黄門さまがさりげなく、「このバカちんがぁ」と八兵衛をしかりつけること。遠山の金さんも大岡越前守も鬼平も地上波から次々と消え、時代劇は風前の灯と思いきや、見限った人ばかりではないようです。

 

 日が傾き、ほの暗くなりかけたお茶の間では、ひと昔前まで、年老いた家族が、テレビ時代劇の再放送に見とれていたものだった。

 北陸出身で、いまは東京で暮らす女性(48)は、約20年前に他界した祖父の記憶をたどるとき、真っ先に思い浮かぶのが、里帰りするたび見かけた、その場面だという。

 「水戸黄門が大好きだった祖父は、夕方、再放送が始まると、ウイスキーの瓶とコップと柿の種を用意して、テレビの前に陣取るんです。若いころの深酒がたたり、祖母から、お酒は一杯だけと、きつく言われていたから、「表面張力、表面張力・・・」とつぶやきながらウイスキーをなみなみ注いで、黄門さまの世直し旅を見ながら、ちびちびすすっていた。その至福の表情が忘れられません」

 もうひとりの東京の女性(43)は、小学生のころ、日が暮れて家に帰ると、祖母がテレビにかじりついて、「水戸黄門」を欠かさず見ていたという。それを横目にするうち、自分も、里見浩太郎さんが演じる助さんに、ぞっこん夢中になってしまった。

 「学校でも助さんのことばかり考えていて、できることなら結婚したいと思うほど、絶対的なヒーローでした」

 しかし、TBS系で40年余り放送された「水戸黄門」シリーズが2011年に終結したとき、地上波の民法テレビから時代劇のレギュラー放送が、いったん消滅。その後、盛り返す兆しはない。

 時代劇に背を向けた人びとの言い分はこうだ。

 「封建時代を描くから仕方ないが、男ばかり威張り散らすドラマは歯がゆい。命が粗末に扱われるのもいやだ」(長崎、65歳女性)、「日本の歴史には戦国時代と江戸時代しかないのかと思うほど、同じ人物が登場するのでうんざり。つくり手の視野が狭すぎる」(京都、57歳女性).

 時代劇の命運、もはやこれまでなのか。アンケートでは多数を占めた擁護派を代表する意見を紹介しよう。

 「観戦懲悪のワンパターンは、最後に悪が成敗されるという、現実にはめったにない結末をかならず見せてくれる。権力もお金もない庶民には、このうえない憂さ晴らしになる」(大阪、66歳女性)

 この世に悪がある限り、滅びることはなさそうだ。

 

 

 

投稿者: 松村税務会計事務所

前へ
HOME
メールでのお問い合わせ 営業時間 9:00~17:30 定休日 土日・祝日 土日・祝日時間外予約可