体育「楽しい」は平均下回る
全国体力調査の検討委員を務める内藤久士・順大スポーツ健康科学部長も、順位は現場の熱意の影響が大きいと見ている。
「調査に反対していた教職員組合もある。体力作りに取り組んでも、測定は重視しないという教員もいる。いい記録を出したいという子供に何度でもやり直しをさせる教員もいれば、1回で終わりだという教員もいる」
1964年東京五輪をきっかけに始まった旧文部省のかつての調査は、人数を絞り込んでサンプルを取り出す方式だった。
福井はそれに先がけ、小4から高3までの子ども全員を対象に県独自の体力調査を63年に始めた。結果をもとに各校が体力作り推進の「計画」と「報告」を作成し、県に提出する。
全国調査で福井に次ぐ高成績を挙げる茨木県も同様に、67年から独自の調査を行ってきた。茨木県教育庁の担当者は「親世代や教員が子供のころから、体力調査が当たり前に実施されてきた。伝統があるので地域や家庭の関心が高い」と好成績への影響を認める。
「体力日本一」の福井県には、実は気になる結果があるという。16年度の調査で、体育の授業が「楽しい」と答えた中2男女の割合が全国平均を下回っていた。県教育庁の担当者は4月の研修会で「日本一になりましたが、子供たちが感じていることを見逃さないようにしてください」と教員に呼びかけていた。
全国体力調査では、体力テストの測定値や順位だけでなく、アンケートから体力作りの課題を探っている。内藤学部長も「学校は数値だけでなく、子供の運動への意識との関係を分析した上で、各家庭に伝えるようにしてほしい」と話している。