地方移住に関する助言を行うNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)代表理事の高橋公さんは「地方でのんびりというより、まだまだ働きたいというが地方に目を向けている」とする。実際、移住を検討して同センターを訪れる人への調査(複数回答)では、移住のタイミングとして「1年未満に」が39%、「1~3年以内に」が24%と、「会社を定年退職してから」(9%)を大きく上回っている。
人口減少に悩む地方も、都心からの移住者を歓迎している。佐久市観光交流推進課の浜二郎さんによると、仕事のスキル・ノウハウを持った経験者を必要としている地方の中小企業は多く、「担い手不足の農業分野の期待も大きい」という。
ただし、あてもなく移住してから仕事を探すのは、そう簡単ではないようだ。浜さんは「新たに農業を学んだり資格を取ったりして、相応の準備が必要です」とアドバイスする。浜さん自身保険会社を退職し、同市に移住した経験者。「住み始めてから仕事を探す、という考え方は極力避けましょう」と話す。
一方、家族やパートナーの理解を得ることも重要だ。笠井さんも妻の理解を得るのに、数年を費やしたという。
「就農計画や収支計画を作成し、生活への不安を取り除いた」と振り返る。
移住先の生活を事前に体験するのもいい。自治体によっては、現地体験ツアーや居住体験イベントなどを行っている。また資金に余裕があれば、最初は「2地域住居」という選択肢もあるという。
高橋さんは「自宅から近い地域に移住先の住まいを設け、自宅と行き来する生活から始める人も多い。まずは一人で移住し、家族に良さをアピールする方法もある。誰とどこで、どんな暮らしをするのかを考えてから、移住を検討してほしい」と話している。