9割開通、都心通らず千葉~神奈川ぐるっと
首都圏郊外を囲む形で走る首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の茨木県内区間が全線開通したことを受け、バス会社や旅行会社、商業・レジャー施設が関連商戦に力を入れている。都心を避けて主要高速道路を行き来でき、所要時間が短くなる。その分より多くの時間を観光に充てられ、渋滞によるイライラも減る。バス旅人気も追い風に観光需要が高まりそうだ。
はとバス、茨城や埼玉周遊
クラブツーリズム、ツアー経路変更
境古賀インターチェンジ(IC)ーつくば中央ICの28.5キロメートルが開通し、圏央道全体の9割が通行可能になった。東京から放射状に広がる東名、中央、関越、東北、常磐、東関東の各高速道路がつながり、首都高速道路の渋滞も改善した。
はとバス(東京・太田)は「新規開通!ピッカピカで便利な圏央道 ぐるっと走行ツアー!」と題した日帰りバスツアーを4~6月に実施する。都内発着で千葉県の道の駅や茨木県の筑波宇宙センター、埼玉県の公園などを巡るルートで料金は大人一人あたり7480~7980円。
クラブツーリズム(東京・新宿)は茨木県内発着の2方面のツアーを3月から圏央道経由に切り替えた。山梨でサラダバイキングを楽しむ新ツアー(1万980円)は渋滞がなければ所要時間約30分短くなる。従来の首都高は渋滞で1時間以上ずれ込むことも多かった。「時間が読みやすくなる」(担当者)。埼玉県川越市の街並みを楽しむ新ツアー(6990円)は半分の約1時間半で着き、見学は2倍の2時間を確保する。両ツアーとも予約が好調なため5月まで延長する。
同社は開通前の圏央道を歩いたり、2月26日の記念式典を見学したりするツアーも企画し、計約500人が集まった。
千葉交通(千葉県成田市)や関越交通(群馬県渋川市)なども成田空港発着高速バス路線の圏央道への変更を検討する。
商業・レジャー施設も動く。三菱地所・査問(東京・千代田)は大型商業施設の佐野プレミアム・アウトレット(栃木県佐野市)でお得に買い物できる引換券を4月まで東日本高速道路(NEXCO東日本)と配る。
ゴルフ場運営大手のPGMホールディングスは茨木県などのゴルフ場で開通を記念して特産品の土産付きプランを用意した。圏央道の開通が新たな人の流れと観光スタイルを形作りそうだ。