ゆるやかなカットを
「血糖値上昇を抑え、減量効果がある」としてブームが続く糖質制限。パンや麺類、ビール系飲料からハム、アイスクリームまで「糖質オフ」商品が登場。アンケートでは、糖質制限に関心がある人は56%、その4割近くが「減量効果もあった」と答えた。
「夫が2ヵ月間、糖質制限に挑戦。つきあった私もマイナス3キロ達成。週末は制限なしにしたが、リバウンドはなく、運動をして、筋肉もついた」(山形、51歳女性)、「健康診断でメタボ予備軍と判定され、ごはんを半分に減らし、運動することをすすめられた。6ヵ月で糖質制限と自転車による運動で7キロ落とした」(東京、64歳男性」。
ブームの背景には高齢化、健康志向への高まりがある。厚生労働省によると、糖尿病の人と予備軍は約2050万人。糖質制限は治療の一環という人の声も届いた。
一方、糖質制限の健康への影響を懸念する声も多く寄せられた。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもの。日本人はエネルギー源の約6割を糖質からとっている。
「一つの栄養素だけを制限してはひずみが出ると思う」(京都、33歳女性)、「糖質制限で痩せたを何人も見てきたが、やせ方が健康的でない」(神奈川、65男性歳)。
実際、主食を完全になくすなど、極端な糖質制限をすると、タンパク質が不足し、筋肉が減ってしまう危険があるという指摘がされている。
北里研究所病院の山田悟糖尿病センター長は、糖質制限の効果を科学的に検証してきた。ゆるやかな糖質制限である「ロカボ」を提唱。「適正糖質摂取量は、毎食おにぎり1個の糖質に相当する40グラム、1日70~130グラム。おかずはしっかり食べる」という。
ロカボに協賛する企業も増えている。「低等質のレストランに行った。おいしくて、工夫すればこんな糖質制限ができるのだと感動した」(兵庫、43歳女性)
とはいえ、糖質制限が長期に人体に及ぼす影響はわからないとして、慎重な見方をする医師も。その状況をクールに見る人も多い。
「昔はいいと言われていたことが覆る状況を見ていると、糖質制限もどこまで信用していいのかわからない」(千葉、51歳女性)
糖質制限など考えられないという声も多かった。なにしろ「糖質を多く含む食品が好き」な人が9割近くもいた。
「お米や麺類が大好きで、糖質制限をしたら気が狂ってしまう」(愛知、46歳女性)、「おやつを食べることでストレス解消、健康が維持できている」(東京、54歳女性)、「甘いものは心の栄養。控えると、一度きりの人生が切ないものになる」(東京、62歳女性)。
さらに関西女子からは、こんな大胆な声も。「粉もん文化の関西では、お好み焼きにライスなんて定番中の定番!」(大阪、40歳女性)、「関西の昼食は、ラーメンや焼きそばに白米が当たり前だった」(大阪、38歳女性)。
近年、日本で深刻化しているる「健康格差」。正規職より非正規職に糖尿患者が多い。糖質制限は、格差社会の一面も映し出す。
「野菜が高騰、炭水化物が重なる食事になってしまう」(神奈川、46歳女性)、「ダイエットしている人はジムに行ったり、専門医に相談したり。中流以下の庶民には無縁」(大阪、47歳女性)、「主人が糖質制限でやせた。が、肉などで食費がすごくなり、お財布もやせた」(群馬、46歳女性)