テレビ番組の影響も
こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
一説には1千万人ともされる俳句人口。その裾野の広さが、短歌を上回る「69%」の結果に出たのかも知れない。
自ら俳句をたしなむ人が予想以上に多かった。「俳句をやって12年。ますますその魅力にとりつかれている。句会は実に面白く、苦しく、勉強になる。毎日、毎日、俳句を詠んでいます。俳誌、句会たよりは毎月とても待ち遠しい」(埼玉、80歳女性)
「たった17文字で季節感あふれる情景を表現する潔さ」(大阪、52歳男性)が俳句の魅力。「削る文学」とも言えそうだが、そこが難しさでもあり、実作に挑もうとしてひるんでしまう人もいる。
そんな中で、多くの人が「勉強になる」と名前を挙げた人気テレビ番組があった。
芸能人に句をつくらせ、俳人の夏井いつきさんがそのできを評価したり、添削したりするコーナーがある「プレバト」(TBS系)である。
夏井さんの指導で「下手な俳句が素晴らしい俳句に変身していく」(愛媛、65歳男性)という。実際に番組を見ると、ゲストがつくった「稲雀 青き富士に 見張られて」という字足らず凡句が、「真青なる 富士の見張るや 稲雀」へ。「語順で情景が鮮明になる」とか「聴覚に訴える」などの説明に納得。学校でこんな授業を受けたら俳句好きになったのに、と思った。
「大変面白く勉強になる。バラエティーとして成り立つことに、まだまだ日本も捨てたものではないとうれしい」(兵庫、53歳女性)、「毎回欠かさず見る。先生の添削のコメントに思わずうなることが多く、俳句の奥深さに初めて触れ、改めて興味がわいてきた」(東京、65歳女性)といった感想が数多くあった。
コメントに出てくる俳人名が、松尾芭蕉や与謝野蕪村といった歴史に残る文人なのに比べ、短歌につぃて寄せられたコメントには、現代歌人の名が多く出てきた。その筆頭は、1987年に発売され、280万部のミリオンセラーとなった「サラダ記念日」の俵万智さん。「サラダ日記は衝撃的でした。現代の言葉であんなに自由にストレートに感情を表現していいんだと思った」(茨城、54歳女性)。「難度が高いと思っていた短歌が、一気に親しみのあるものになった。短歌の大衆化に貢献した俵さんはすごい」(千葉、56歳女性)
同じように、多くが名前を挙げていたのが松田梨子、わこさん姉妹。ご存じですか?
月曜日の「朝日歌壇」で入選の常連になっている富山市の姉妹です。例えば梨子さんの作品は、「守れない約束をついしちゃうのが大人なんだねしかも目をみて」(昨年9月5日付朝日歌壇)。
「二人の短歌が楽しみで、いつの間にか毎週月曜日、全部の短歌に目を通すようになりました。現代風の短歌も、新鮮でいいなと思います」(富山、46歳女性)といった愛読者が多かった。
私は、にわか「短歌派」。1983年生まれの歌人・山田航さんが70年代以降に生まれた歌人40人をセレクトしたアンソロジー「桜前線開架宣言」((左右社)を、最近読んだからです。「メスプレイの検索結果が十万件超え本日は日本は平和」(松本秀)、「したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ」(岡崎裕美子)、「若いとき買ってまでした苦労から発癌性が検出される」(岡野大嗣)といった作品に心を打たれ、どんどん引き込まれた次第です。