業種別
貸事務所がトップ
明治維新150周年の2018年、東京商工リサーチは明治期に開業した企業の状況を調べた。東京都内に本社を置くのは2494社と全国(2万1799社)の1割強を占め、都道府県別では最も多かった。業界大手が名を連ねる一方、創業当時の事業から転じて貸事務所業を営む中小も目立つ。時代の変化に合わせて生き残る老舗の姿が浮き彫りになった。
明治創業の企業は様々な産業に根を張っている。社数では商社など卸売業が601社で最も多く、製造業が596社、学校法人を含むサービス業他が456社、小売業が320社で続く。
業種別により細かく見ると、貸事務所業が122社でトップ。創業当時の事業を縮小し、遊休不動産を活用した貸しビル経営などに移った例が多い。地価が高い都内だからこそ成り立ちやすい商売替えといえそうだ。
2位は大学で59社、3位は美術品や工芸品、画材専門の問屋などを中心とする卸売業で51社だった。
売上高でみると、100億円以上の企業が404社と全体の16%を占めた。上位にはJXTGエネルギー、三井物産、明治安田生命保険、新日鉄住住金、日本郵便など業界大手企業が並ぶ。上位10社のうち9社は千代田区に本社を構える。
調査担当者は「老舗企業は過去の成功や固定観念にこだわらず、時代の変化に応じて事業転換するなど柔軟な経営方針で生き残っている。規模の大小を問わず学ぶべきところが多い」と話す。
周辺県では神奈川県が645社で全国9位、埼玉県が587社で12位、千葉県が494社で16位となった。1都3県合計は4220社と全国の2割近くに達した。一方、企業自体の数が多く、経済活動も活発なだけに企業全体に占める明治創業企業の割は合低く東京都が0.36%で45位だった。他の3県もいずれも40位台だった。