東京都議会では昨年10月、子どもの受動喫煙を防ぐため、自宅や車内に18歳未満の子どもがいる場合、禁煙を努力義務とする条例を可決している。
一方、厳しい批判にさらされる反対派にも言い分がある。とりわけ目立ったのは、たばこの購入を通じて十分な税金を支払っているとの思いをにじませた意見だ。
「有害、不健康と思われるものがあまたある中、喫煙のみを極端に問題視するのはおかしい。たばこは合法であり、嗜好の問題であり、喫煙者は高い税金を負担してまですっているのだから」(東京、58歳男性)、「高い税金を払っているのに形見の狭い思いは複雑。たばこの販売自体がなくなるまで禁煙はしないと思う」(佐賀、55歳女性)
禁煙したいのに、できないもどかしさを吐露する人もいる。「長期の入院生活をしたが禁煙はできなかった。意思が弱いと自覚した」(岡山、76歳男性)など。
喫煙規制をどのレベルまで進めるべきかでは、「人が集まる場所では幅広く規制すべきだ」と考える人が最多となった。「たばこが嫌いな人が受ける受動喫煙の影響は見過ごせない。やはり、人が集まる場所の喫煙は許してはいけない」(埼玉、54歳男性)。飲食店などで形だけの「分煙」の効果に、疑問を呈する意見も目立った。
規制が進まない理由として最多だったのは「個人の習慣の問題だと考える人が多い」とする見方。国や自治体の禁煙施策を不十分と考えている人が多いことも分かった。「業界に配慮し、政治的な理由で喫煙に対する規制が進まないのだと思う」(滋賀、46歳女性)との意見も。
国で喫煙規制を強化する法改正が実現しなかったことについては、厳しい批判の声が寄せられた。「実現しなかったことは情けない。世界標準から大きく遅れていることを、議員は認識してほしい」(東京、57歳女性)
現状に不満を抱きながらも、国の施策が今後どんな方向に進んでいくのか注視している、という人も少なくないようだ。