タイヤガードやハンドルロックなどは「ローテク」だが、「盗みにくいと威圧感を与える。窃盗団は3分以上手間取ると焦りだすともいわれ、あきらめさせるのに効果的」という。
防犯器具販売業「錠商」(千葉県稲毛区)のタイヤガードはタイヤが動かないように固定する。上下2つの装置でタイヤを囲むように覆い、中心のホイールのナットを隠すのでタイヤを外すこともできない。
開発した同社代表、清水治三郎さん(68)の本業は金庫の鍵紛失などに対応して現場へ駆けつける、合法の「金庫破り」。依頼主は一般企業のほかに官公庁、米軍、研究機関などさまざまだ。
窃盗犯がこじ開けようとしてあきらめた、壊れた金庫を開く依頼も多い。「どんな心理や手口で犯行に及ぶのか警察官といっしょに見てきた。自動車窃盗は被害額が大きく、裏をかいて防ぎたい」と3年半かけて開発した。
対策は複合的に
タイヤガードは16年の販売開始以来、2千台超を出荷している。清水さんは「丸いタイヤを固定するのは難しかったが、窃盗団は外せず、運転者は装着しやすい防犯具になった。簡単に盗めないと思わせる視覚効果も大きい」と自信をみせる。
ハンドルロックも、ハンドル全体を覆うタイプが注目されている。米国製「ラップ」の輸入販売会社「LOUPLE]代表、大沢光明さん(32)は「ハンドル中央のパットの部分も隠すので、ハンドルごと盗まれたり、エアバックの盗難も防ぐ」と説明する。
警視庁の統計によると、28年の自動車盗難は全国で1万1655件。そのうち、ドアを施錠したのに盗まれたケースは7割(8530件)を占めた。施錠だけでは、窃盗団の犯行を抑止抑止できない。
鈴木さんは「盗難の手口は日々進化している。イモビライザー装着者を選び、防犯器具も取り付けるなど、複合的に盗難対策をしよう」と話している。