人気低かったエリア、高値も
価格が高止まりしている東京都内の新築マンション。建築コストの高騰や低金利だけでなく、共稼ぎ世帯の増加で利便性の高い場所の需要が一段と高まっている点も影響している。住宅地として人気が高くなかったエリアでも利便性の高さが評価され、従来にない高価格で分譲されるマンションも出始めた。
東京都足立区のJR北千住駅。その西口に広がるアーケード商店街をしばらく歩くと、クレーンがせわしなく動く光景が目に飛び込んでくる。三井不動産レジデンシャルの分譲マンション、「パークホームズ北千住アドーア」の建設現場だ。
2019年3月に完成するこの全89戸のマンション、実はエリア随一高級物件だ。10月下旬に実施した第一期販売の平均価格は1坪(約3.3平方メートル)当たり約330万円。3LDKで一般的な広さの70平米に換算すると約7000万円という水準だ。
これだけ高価格にもかかわらず、第一期販売では全体の8割の69戸を売り出し、すべてに申し込みが入った。なぜ、これほどに人気が高いのか。
北千住は「治安が悪い」というイメージがつきまとい、これまで住宅の価格はそれほど高くなかった。東京カンテイ(東京・品川)によるとJR北千住を最寄りとする分譲マンションの平均坪単価は01年以降、140~220万円で推移してきた。昨年は相場全体の高騰につられて上昇したが、それでも300万円には届かなかった。
一方で、北千住は利便性の高い街でもある。JR東京上野ラインや地下鉄千代田線、日比谷線など5路線が利用でき、JR東京駅や地下鉄・大手町駅まで15分前後で通える。ルミネやマルイといった商業施設があり、商店街も点在する。