検査院報告
16年度過去10年で最小
会計検査院はさきごろ、税金の無駄使いや不適切経理などが計423件・874億円に上ったとする2016年度決算の検査報告を安倍晋三首相の提出した。指摘された件数、金額ともに過去10年で最小。指摘額が1000億円を下回るのは06年度(310億円)以来。使われずに積み上がった余剰資産への指摘が少なかったことなどが要因という。
前年度は、預金保険機構が管理する資産のうち1兆円超が使われる見込みがないと認定されたこともあり、指摘額を過去2番目の多さに押し上げた。こうした余剰資産の洗い出しに検査院が力を注ぐ中、解消も進み、16年度は独立行政法人・中小企業基盤整備機構が保有する政府出資金32億円1件にとどまった。
指摘のうち、法令違反に当たる「不当事項」は333件(前年比12件減)で137億円。改善を求める「処置要求」は28件(同15件減)で258億円だった。今回、国会からの要請に基づく学校法人・森友学園への国有地売却手続きの検査は含まれていない。省庁別では、前年度と同じく厚生労働省の135件が最も多く、文部科学省50件、農林水産省34件と続いた。指摘額が最も大きかったのは、国土交通省が15、16年度に8都府県15市区長の道路整備など公共事業に交付した269億円。各自治体は計640件で誤った入札手続きをしていた。
入札には最低制限価格の範囲内で最も低い金額を示した業者を落札者とする方式と、価格以外に業者の技術などを総合評価して落札者を決める方式があり、併用は認められていない。ところが、460件の入札では、総合評価が最も高い業者が、誤って併用された最低制限価格よりも低い金額を示したため失格になっていた。