国内の糖尿病が強く疑われる成人が推計で1千万人に上ることが、厚生労働省の2016年の国民健康・栄養調査でわかった。調査を始めた1997年の690万人から増え続け、今回初めて大台に達した。厚労省は高齢化が進んだことが影響したとみている。
厚労省推計
23%治療せず
調査は16年11月、20歳以上に実施。血液の状態を示す血液中の「ヘモグロビンA1c」値の測定結果がある約1万1千人を解析し、全国の20歳以上の全人口にあてはめて推計した。ヘモグロビンA1cが6.5%以上で糖尿病が強く疑われる「有病者」は12年の前回調査より50万人増えて1千万人に上った。男性の16.3%、女性の9.3%を占め男女とも高齢になるほど割合が高い傾向だった。一方、ヘモグロビンA1cが6.0%以上6.5%未満で、糖尿病の可能性が否定できない「予備軍」は1千万人で、前回より100万人減った。
厚労省は高齢になってインスリンの分泌も少なくなることかなどから予備軍の症状が悪化し、有病者は増えたとみている。高齢化が進み、今後も患者数の増加が予想される。
糖尿病は放置すると、網膜症や賢症などの合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞などの原因にもなる。だが、今回の調査で有病者のうち、23.4%は治療を受けていなかった。国は22年度の有病者を1410万人と予測。それを1千万人に抑えることを目標にしている。
日本糖尿病学会理事で、聖マリアンナ医科大の田中逸教授は「最近は運動をする人としない人の二極化が進み、今後は若い人の糖尿患者が増える可能性がある。不必要な間食をしない、野菜を多くとるなどバランスの良い食事を心がけ、細切れでも体を動かすことが重要だ」と話す。