「心が折れる」という表現を使う人の割合は、20代では8割近いのに、70歳代以上では2割に満たないことが、文化庁の2016年度「国語に関する世論調査」でわかった。「目が点になる」を使う人は50歳代が最も多く、新しい表現の浸透度には世代の格差がある実態が浮かんだ。文化庁は「表現が生まれた時代と使う世代には密接な関連がある」と分析している。調査は17年2~3月、16歳以上の男女計約2000人を対象に行った。
「障害にぶつかり、くじける」という意味の「心が折れる」を「使うことがある」と答えた人は全体の43・3%。20歳代が76.2%で最も多く、70歳以上は17.5%にとどまった。プロ野球元ヤクルトの古田敦也氏は07年の引退試合で「何度も心が折れそうになった」と語るなど、スポーツ選手の仕様が目立つ。
一方、「目が点になる」(ビックリする)を使う人は46・4%で、最多は50歳代(69.9%)。文化庁の担当者は「1970年代の漫画がルーツだという説がある」と指摘。89年にはテレビ番組「所さんの目がテン!」もスタートした。
このほか、「毒を吐く」(ひどいことをいう)は30歳代(59・8%)、「背筋が凍る」(恐怖や気味悪さでぞっとする)は20歳代(52・5%)が最多だった。