毎日茶碗一杯無駄
環境省と農林水産省による推計では、平成26年度の食品廃棄物は約2775万トン(前年度約2797万トン)。また、食べられるのに廃棄されている食品(フードロス)は年間約621万トン(前年度約632万トン)で、国民一人が毎日お茶碗一杯分を棄てている計算になる。
フードロスが多い理由に一つと考えられるのが、商慣習だ。例えば、この日販売したタイ産ココナッオイルは、賞味期限なで49日あるが、小売店への販売は基本的にできない。食品業界には「3分の1ルール」という独特のものがあり、賞味期限が製造日から3分の1を切ったものはの納品しないからだ。
その結果、店頭にはつ常に新しい商品が並ぶが、流通できない商品の大量廃棄が生じる。また、食べ物に困っている人に食料を届ける活動「フードバンク」なども、基本的に賞味期限が1ヵ月を切ったものは受け付けていないため、寄付も難しい。「オーガニックで大切に育てた商品の期間が短い。3分の1ルールだと、製造後数ヵ月しか販売期間がない」と荻野さん。
そのため、同社は7月末から、賞味期限から1ヵ月を切った食品も廃棄せず、おいしく食べ切るアイデアを求めて活動を開始。交流サイト「フェイスブック」や「インスタグラム」などで呼びかけ「社員食堂で販売する」「(ココナッツオイルで)クッキーを作る」など集まったアイデアを実践中だ。
シェアオフィスでの割引販売もその一環で、販売コーナーは「オフィスおやつスタンド オーガニック版」と命名した。同業のオーガニック食品会社なども商品提供に協力し、シェアオフィスや企業の社員食堂などへの設置が進む。
子どもに良い食品を
同社は東日本大震災をきっかけに平成23年9月、荻野さんが創業。震災発生時には妊娠4ヵ月だった.東京電力福島第一原子力発電所事故で、食品や水の安全性に関する情報があふれる中、「子どもに何を食べさせればよいのだろうか」と考えたことが、食への関心を持ったきっかけだった。
荻野さんは「我が子に食べさせたいかどうか」を基準に選んでいる。作る人も売る人も食べる人も楽しく、幸せになるような食の循環を実現させたい」と話している。
活動への協力やアイデアの提供は、ブラウンシュガーファースト(03-3479-6999、FAX03-6455-4369)へ。