「働き方改革」を掲げる企業の増加をにらみ、音楽関連企業がオフィスでのBGM配信に力を入れている。USENはメリハリのある働き方ができるようにBGMを時間帯に合わせて切り替えるサービスを昨年8月から全国に拡大。ビクターエンターテインメントはオフィス緑化を手掛ける生花販売大手の日比谷花壇(東京・港)と組み、休憩中に社員がリラックスできる音源を売り込む。
「この数か月、BGMコーディネートサービスへの問い合わせが急増している」。USENでオフィス向けの音楽配信事業を率いる斎藤淳部長はこう話す。きっかけは政府が、業務の効率を高めて長時間の残業を防ぐ「働き方改革」の旗を振り始めたことだ。
BGMコーディネートサービスでは「午後6時退社を促したい」「昼休みをきちんと取らせたい」といった企業の要望をもとに、USENの専門家が94種類ある音楽チャンネルから時刻ごとに最適な組み合わせを選ぶ。
例えば、始業前後に小鳥のさえずりが入ったクラシック、終業時は「別れのワルツ」を流すといった具合だ。音楽が切り替わることで、働く時間を意識してもらいやすくなるという。
昨年8月にはこれまで首都圏のオフィスだけに提供していたBGMコーディネートサービス47都道府県に拡大した。
USENはこれまでオフィスに合った楽曲を選曲したチャンネルを「集中力向上」や「リラックス」、「リフレッシュ」など4種類に分けて、企業向けに提供してきた。
三井ホームや富士通がこのサービスを導入している。三井ホームでも朝の始業前の小鳥のさえずりなどは流れる。10~12時は時間を意識してもらうため音楽は一度消す。昼休みはリラックスを促す音楽を流す。
15~18時は集中力が高まる効果があるという楽曲、終業時間に「ロッキー」のテーマ曲を流して社員の定時退社をうながす。サービスの導入前に比べて残業時間が3割減ったという。