健康・節約志向
単身高齢者後押し
納豆連によると、2016年の納豆の市場規模は過去最高の2184億円で、11年の1730億円から、5年間で26%拡大した。
納豆市場が成長している理由について、納豆連は「納豆が消費者の健康志向と節約志向を満たしているから」(広報)と分析する。納豆はたんぱく質やビタミンなどの栄養が豊富ながら、スーパーで特売の目玉商品となるなど安価なのが魅力だ。納豆連が今年6月に行った調査(複数回答可)では、納豆を購入する人の約65%が「価格を重視している」と答えた。スーパー「アキダイ」(東京都練馬区)では、2パックで45円の納豆が「毎日約50個売れ、売り切れになる日もある」(秋葉弘道社長)という。
また、高齢者の単独世帯の増加も背景にある。「1人分の食事を準備するのがおっくうな高齢者が、スーパーで買った総菜と一緒に食べるケースが多い」(納豆連)という。
特に人気なのが、国産大豆を使った商品だ。食の安全を求める消費者意識の高まりを背景に、納豆連の推計では11年に1万1000トンだった国産大豆の使用量は、2万5000トンと、倍以上になった。
納豆メーカーのあづま食品(宇都宮市)は、主力の「国産中粒納豆」の売上高がこの数年、毎年1割ずつ拡大。「生産ラインはフル稼働状態」という。8月末には、北海道産大豆を原料にした納豆に安曇野産わさびを付けた「本わさび納豆」を投入した。
ミツカン(愛知県半田市)も今年3月に「くめ納豆国産大粒」を発売。「粒が大きく食べごたえがあるので、ご飯にかけるだけでなくおかずとしてもおいしく食べられる」という。同社では昨年3~8月の国産大豆を使った納豆の売り上げが前年同期から1割近く伸びた。
いいことずくめの納豆だが、課題もある。納豆の消費は中高年が中心で、若者があまり食べないことだ。納豆連は「若い人は健康に関心が薄い」のが理由とみて、高校生を対象に納豆をつかった料理コンテストを昨年、初めて行うなど、若者の需要喚起に努めている。