420市町村・行政区
書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。出版取次大手によると、香川を除く全国46都道府県で420の自治体・行政区にのぼり、全国の自治体・行政区(1890)の2割強を占める。「文化拠点の衰退」と危惧する声も大きい。
トーハン(東京)の昨年7月現在のまとめによると、ゼロ自治体が多いのは北海道(58)、長野(41)、福島(28)、沖縄(20)、奈良(19)、熊本(18)の順。ほとんどは市町村だが、北海道赤平市、茨木県つくばみらい市、徳島県三好市、熊本県合志市など7市や、堺市美原区、広島市の東・安芸両区の3行政区もゼロだった。
出版取り次ぎ大手・日本出版販売(東京)の別の統計では「書店ゼロ自治体」は4年前より1割府えた。
全国の書店数は1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減った(書店調査会社アルメディア調べ、5月現在)。人口減や活字離れがあるほか、書店の売り上げの6~7割を占める雑誌の市場規模は10年前の6割に縮小。紙の本の1割を握るアマゾンなど、ネット書店にも押される。経営者の高齢化やコンビニの雑誌販売なども影響する。
日本出版インフラセンターの調査では、過去10年で299坪以下の中小書店は減少したものの、300坪以上の大型店は868店から1166店に増加。書店の大型化が進む。
「文化拠点残して」
作家で文字・活字文化推進機構(東京)副会長の阿刀田高さんは「書店は紙の本との心ときめく出会いの場で、知識や教養を養う文化拠点。IT時代ゆえに減少は避けられないが、何とか残していく必要がある」と話す。