爆発物を自動検知、不審者監視
国交省五輪控え実証実験
国土交通省は空港のターミナルビルのテロ対策を強化する。昨秋以降、行動が不振な人物を見分ける最新の監視カメラや爆発物を自動検知する装置の実証実験を行い、導入を本格的に検討している。不特定多数が出入りできる空港ビルのテロ対策は旅客しか入れない保安検査場に比べて遅れており、2020年東京五輪・パラリンピックを前にハード面の備えを進める。
同省は爆発物の検知装置の実証実験に必要な経費として、18年度予算の概算要求に約4千万円を盛り込んだ。羽田や那覇、新千歳など国が管理し、国際線が多く就航する空港のターミナルビルの中から実験場所を選ぶ方向で調整する。
検知装置は、ターミナルビルの出入り口を利用者が歩いて通過する際にセンサーで爆発物や銃器の有無を調べるタイプを想定。検知すると警備室へ通報される。ほかの方式の装置も含め、海外での導入事例も調べる。実証実験で効果が確認されれば、20年までの導入に向けてビル管理会社と協議を進める。
監視カメラの実証実験も昨秋から羽田空港のターミナルビルで行っている。。利用者の中で長時間、同じ場所を行ったり来たりするなど不審な動きをする人物を発見したり、特定の場所に置かれたままの不審物を見つけたりすることができるカメラを設置。効果を検証する。
同省は空港でのテロ対策として、電波で服を透視し、不審物がないかを調べるボディスキャナーや高性能のX線検査装置の導入を進めている。しかし、これらは主として旅客しか入れない保安検査場に設置。旅客以外に多数の人が集まるターミナルビルは民間企業が管理していることから、検査場に比べると対策が進んでいなかった。
空港のターミナルビルを狙ったテロは近年、世界各地で起きている。16年3月にはベルギーのブリュッセル国際空港で、同6月にはトルコのイスタンブールにあるアタチュルク国際空港で自爆テロが発生し、多数の死傷者が出た。
国交省空港技術課は「ターミナルビルは不特定多数の人が集まるソフトターゲットになりうる。実験では利用者の通行を妨げない運用方法など、導入に向けた課題を整理したい」と話している。