6月以降日本海側特約加入60隻
北朝鮮のミサイル発射や尖閣諸島問題などを受け、漁船が戦乱や襲撃などに巻き込まれた際に乗組員の人命などを補償対象とする「戦乱等特約」付き保険の契約数が増えている。沖縄県が突出している一方、ミサイル発射が相次いだ6月以降は、石川、北海道、山形など日本海側を中心に少なくとも6道県でイカ釣り漁船など約60隻が契約した。
6月以降は日本海側も急増。石川県・能登半島沖約300キロの漁場「大和堆」に向かうイカ釣り漁船は、6月に同県の17隻8月末までに北海道の函館を拠点とする6隻、青森県の26隻、山形県の2隻が加入。大和堆北部でベニズワイ漁を行う鳥取県の3隻、島根県の1隻のカニ漁船も特約を付けた。
大和堆近くでは7月、水産庁の取締船が北朝鮮籍とみられる船から銃口を向けられた事件があり、八戸みなと漁協(青森県)は「大和堆に向かうイカ釣り漁船は全隻加入した」という。
海上保安庁は昨夏、北朝鮮籍とみられる違法操業選に対し、拡声器や汽笛での警告、放水などを行い、延べ約820隻を日本の排他的経済水域(EEZ)から退去させた。
石川県能登町小木の漁師山下久弥さん(62)は「保険に入ったからといって安全に操業できるわけではない。北朝鮮のミサイル発射や大和堆での違法操業に国は厳しく対処してほしい」と話した。