社長「一本足打法は通用しない」
幅広いニーズ対応へ
ファーストリティリングの子会社が展開する低価格衣料ブランド「GU」が「一本足打法」から転換をはかる。これまで1年に一つの大ヒット商品を生みだす販売手法で利益を伸ばしてきたが、最近は失速。商品の種類を増やした大型店を展開し、幅広い消費者のニーズをすくい取る手法に転換する。
ジーユーの柚木治社長はさきの記者会見で、2017年8月期は営業減益になる見通しを示した。失速の原因に挙げたのは、「一本足打法の限界」だ。
ジーユーは15年、裾が広がった「ガウチョパンツ」を投入。16年にはスカートのように見える裾の広がったパンツ「スカンツ」と、一つの商品に焦点を絞ってヒット商品に育てる手法があった。テレビCMでも「ガウチョ」と連呼し、「トレンド任せではなく需要を創出してきた」(柚木社長)。
だがヒットに恵まれない今期は、さらなる安売りを強いられた。柚木社長は「低価格ファッションの選択肢が広がり、一本足打法は通用しない。お客様が狙い通り踊るという時代は終わった」と話す。
クーポンやツケ払いで購入のハードルを下げた衣料品のネット通販大手「ゾゾタウン」や、ネット上で売買できるフリーマーケットアプリ「メルカリ」など、ネットを使って手軽に衣料品を買える環境も進んでいる。
そこで横浜市に9月、通常より売り場面積を3割ほど広げ、取り扱う商品の種類を2倍に増やした「超大型店」を開店した。単品でホームランを狙う売り方を改め、売れると判断した商品は追加で増産、販売する。「ヒットをつなげて、結果的にホームランになるような取り組みをしていく」という。関東圏での翌日配達や、後払い決済などで利便性も高める。
ジーユーは06年に1号店を開店。一時「ユニクロの廉価版」見なされ客足が遠のいたが、ベーシックなユニクロに対して流行をおさえた低価格ファッションとして差別化してきた。