企業・会社員の負担減
住宅減税など20年度めど
財務省と国税庁は、紙の書類でやり取りしている住宅ローン減税などの年末調整の手続きをインターネットで完結できるようにする。会社員はマイナンバーの個人サイトに金融機関から送られてくるデータを勤め先に転送、企業もネット経由で税務署に提出する。電子化を通じて年末調整で利便性を高め、低迷するマイナンバーカードの普及にもつなげる。
財務省と国税庁で協議に入っており、与党との調整を経て2018年度税制改正大綱に盛り込む。20年度をめどに導入を目指す。確定申告の部分では、医療費控除で電子化が進む。今秋稼働するマイナンバーの個人サイト「マイナポータル」を使えば、17年度分の申告から領収書提出がいらなくなる予定だ。
年末調整をめぐっては、日本の会社員の所得税は企業が毎月の給与から源泉徴収している。年末になると所得税額の過不足が生じるが、日本では企業が従業員に代わって年末調整し、申告納税の手間を省いてきた。
ただ、借入残高に応じて所得税を減らす住宅ローン減税と、生命保険料の支払い額を所得控除できる生命保険料控除を受けるには、会社員自らによる手続きが必要だ。
具体的には、金融機関や生命保険会社から証明書を郵送などで紙で受け取り、規定の書類に書き込んで勤め先の企業に提出する。住宅ローン減税の利用者は給与所得者だけでおよそ320万人。企業も従業員や税務署とのやりとりがすべて紙のためコストがかさみ、事務負担の軽減が課題になっていた。