危険場所標識にイラスト
国土交通省は、訪日外国人旅行者の増加に伴って急増する外国人のレンタカー事故対策に乗り出す。国道や高速道路で急ブレーキなどの走行データを集めて事故が起きそうな場所を特定し、外国人に分かりやすい標識や看板の設置で事故の未然防止を図る。今秋にも沖縄、北海道、九州など外国人のレンタカー利用が多い地域を5ヵ所ほど選んで実証実験を始め、効果が認識できれば全国に拡大する。
実験では、自動車の位置情報や走行データなどを送信できる次世代型の自動料金収受システム「ETC2・0」を活用する。システムを搭載した外国人のレンタカーから、同意を得た上で走行経路や急ブレーキなどの情報を集めて分析。レンタカー会社からはドライブレコーダーなどのデータを提供してもらい外国人が事故を起こしやすい場所や原因を特定する。
特定できた危険個所には、集中的に安全対策を講じる。日本語が読めない外国人にもわかるよう、標識にいたイラストをつけたり、工事中や片側交互通行など運転中に注意を促す看板を多言語表記にしたりする。レンタカーの窓口では、危険個所を事前に周知するパンフレットも配布する。
国交省によると、2015年に日本国内でレンタカーを利用した外国人は約70万人で、11年からの5年間で4倍に増えた。死傷者も増加傾向だ。レンタカー利用が多い沖縄県では、物損も含めた外国人による交通事故が16年に1万件近く発生している。
政府は東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に、年間4000万人の訪日客を目指している。外国人ドライバー対策ではほかに、英語を併記した標識の設置や、高速道路にアルファベットと数字の表記を割り振る「ナンバリング」制度の導入などを進めている。