簡便さ、熱中症対策でニーズ
ペットボトル入りの麦茶の人気がここ数年で急速に高まり、販売数量が2016年には5年前の約1.6倍に増えた。かつてはティーバッグを買って家で沸かすのが主流だったが、少しでも手間を省きたい共稼ぎ世帯や熱中症対策へのニーズが広がっているようだ。
麦茶はカフェインが含まれていないため、子どもでも飲めるお茶として昔から親しまれてきた。価格帯は伊藤園の場合、16袋入りのティーバックの希望小売価格が260円(税抜き)なのに対し、ペットボトルは650ミリリットル入りで130円(同)。ティーバッグは水道やガス代がかかるが、それでもペットボトルの方が圧倒的に高い。
それにもかかわらず、サントリー食品インターナショナルの推計によると、ペットボトル麦茶の市場は11年に約3400万ケース(1ケースは主に500ミリリットル入りのハーフボトル24本換算)だったが、16年には約5500万ケースに増えた。
業界の市場調査を手掛ける「飲料総研」(東京)は「一番の理由は簡便さ」と説明する。麦茶は沸かしても緑茶ほど長持ちしないため、まめにつくらないといけない。水出しに時間がかかる「それならペットボトルを買う」という人が増えてきた。
さらに熱中症対策が意識されるようになった。最近は子どもに水筒うを持たせるよう指導する学校もあり、ペットボトルから移し替える家庭も増えているという。