こども環境管理士の資格試験が始まったのは2007年。それ以前は、自然についての知識があって体験の場を与えることができる人材だと証明できる資格ははなかった。
誰でも受験できる2級と、幼児教育の経験者や2級を持っていて一定期間の実務経験者が受験できる1級がある。2級の試験は択一問題と小論文で、1級はそれに面接試験が加わる。ゴミを減らす工夫や生活排水など、幅広く環境問題について出題される。
ながつた幼稚園の笠原延長は、もともと自然や虫が好きで、野鳥観察なども楽しんでいた。こども環境管理士試験が始まった07年に受験することにし、試験のために「自然の仕組みを最初から学んだ」という。
実際、子どもたちが体験できるようにするために、自然に対する知識は重要だという。例えば、幼稚園の里山にはユリ科のヤマホトトギスが自生している。笠原園長は「ルリタテハというチョウの幼虫が、ヤマホトトギスを食べることを知っていれば、葉の裏側を見たら何かがいるかもしれないよ、と子どもに伝えることができる」と話す。
ビオトープにはさまざまな生き物が生息できるように水辺に浅い場所と深い場所を作ったり、多様な在来の植物を植えたりしている。
こども環境管理士の資格をとってからは、初めから教えるのではなく、自然の中でまず子どもたちが興味を持って言うこと、行動したいこと、感じたことを、受け止めることから始めるようになった。笠原園長は「知識だけでなく、子どもに教えるノウハウも身につけることができる」と話している。