警察庁検討
事故多い80歳以上に再試験も
高齢ドライバーによる交通事故の防止策として、警察庁は、新たな運転免許制度の導入を検討する。80歳以上のうち事故を起こしやすい人に対する技能試験や、安全機能を備えた車などに限って運転できる限定免許だ。
高齢運転者による重大な死亡事故が相次いだことを受け、政府が昨年秋に設置した作業部会にさきごろ、同庁が報告した。
車を運転する試験は、80歳以上のうち交通違反や事故を繰り返しした人などを対象に、免許更新時などに行うことを想定しており、多くの人にとっては免許取得時以来の「再試験」。試験で安全な運転に支障があると判断された人は免許の取り消しなどになる。
限定免許は、車や人を感知すると自動的にブレーキがかかる機能やアクセルを間違って踏んだ時に急加速を抑える装置などを備えた「安全運転サポート車」を当面の対象とし、こうした車しか運転できないようにする。警察庁によると、欧米では高齢者を対象に、運転できる時間や場所、速度を限定した免許の制度があるという。
警察庁は今年1月、高齢運転者の事故防止に向けた対策を考えるため、自動車工学や認知症の専門家らからなる有識者会議を設置。会議はさきごろ、再試験の検討などを盛り込んだ提言を同庁に提出した。免許の有効期限の短縮や「定年制」については、身体機能の低下は個人差が大きく、年齢で一律に制限すべきでないと指摘した。
政府の作業部会がさきごろまとめた関係省庁の対策では、運転免許制度の見直しのほか、高速道路での逆走対策を強化する。免許を返納したり取り消されたりする高齢者が増えると移動手段の確保が課題になるため、タクシーの相乗りサービスの実証実験などに取り組む。