協力7割へ取りこぼし防ぐ。
時間を延長・団体一括
環境保全などを目的に富士山お登山者から集める任意の入山料(富士山保全協力金、原則一人1000円)が本格導入されて、今年7~9月の登山シーズンで4年目を迎える。入山料を払った登山者の割合を示す協力率について、協力を呼びかける静岡、山梨両県は7割の目標を掲げるが、昨年は6割にとどまった。両県は「取りこぼし防止」の新手法で目標達成に乗り出す。
両県によると、昨年は約24万5700人が富士山に登り、うち6割に当たる約14万6200人が呼びかけに応じ、計1億4200万円が集まった。
三つの登山ルート(富士宮、須走、御殿場)がある静岡県は昨年、一律に午前4時~午後4時の間に5五合目で入山料を集めていた。しかし、夕方以降も登る人が多いことから、今年は富士宮、須走の2ルートで入山料の呼びかけを午後9時まで延長する予定だ。この2ルートとは逆に、山頂までの距離が長い御殿場ルートは正午までに短縮する。人件費などを抑え、集めた入山料をより有効活用できるようにする。
静岡県富士山世界遺産課は「昨年は登山者の7割程度に入山料への協力を呼びかけていたが、今年は9割程度に呼びかけられるはず。と自信を見せる。
一方、山梨県は今年から新たに団体客向けの一括納入制度を導入する。あらかじめツアー代金に入山料を含めるなどして旅行会社が支払いを代行する仕組み。旅行会社には変わりに手数料として5%(一人あたり50円)を払い戻す。同県の担当者は「インセンティブをつけて団体客からの取りこぼしを減らしたい」と話す。
両県合わせた協力率は2014年は6割近かったものの15年は5割まで落ち込んだ。このため両県は昨年、5合目までの路線・シャトルバス車内で協力を呼びかけたり、入山料を集め始める時間を午前6時から同4時に早めたりしていた。
また、両県は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会から「多数の登山者の圧力が富士山の神聖な雰囲気を阻害している」などとして登山者数の適正管理を求められており、18年7月までに主要ルートの1日当たりの望ましい登山者数も設定する。、