官民協議会「時差ビズ」で都も後押し
東急~定期でバス振替え
JR東~駅改札に混雑度表示
首都圏の鉄道各社がラッシュ時の満員電車の混雑緩和を目指し、取り組みを強化する。空いている車両へ乗客を誘導したり、電車と同じ区間を走るバスへの乗り換えを促したりしている。官民連携の「快適通勤プロモーション協議会」を立ち上げ「時差ビズ」を提唱した東京都の後押しのもと、各社は知恵を絞る。
JR東日本は乗客が電車の混雑度を知ることができるサービスを拡充する。現在、山手線ではスマートフォン(スマホ)の「JR東日本アプリ」によって車両ごとの混雑の程度や車内の温度をリアルタイムで表示している。
6月以降、中央線快速(中野ー西八王子間)、埼京・川越線(大崎ー南古谷間)、総武線各駅停車(浅草橋ー西千葉間)の3路線で、駅の改札にあるディスプレィで混雑度を表示する。
傘下のバス会社とのネットワークを生かし、電車からバスへの乗り換えを促すのは東京急行電鉄だ。同社の路線のなかで最も混雑が激しい田園都市線で「バスも!キャンペーン」に取り組んでいる。池尻大橋ー渋谷間を含む定期券を持っていれば、朝に同じ区間を走るバスにも乗れるサービスだ。例えば区間内に勤務先がある人は池尻大橋駅で乗り換え、最寄りのバス停で下車すれば便利だ。
その分、電車の混雑の緩和が期待できる。昨年7月から1ヵ月試行し好評だったため、11月から再開し、現在まで継続している。
東京地下鉄(東京メトロ)は4月10日から、混雑率が首都圏屈指の東西線で「早起きキャンペーン」を実施している。当初、期間を7月7日までとしていたが、同31日まで延長した。事前にICカードやスマホなどで登録すると、カードで改札を通るたびに架空の「メダル」を獲得できる。メダルをためて応募すると、抽選で最大2万円分の商品券が当たる。
首都圏の鉄道は路線により平日の混雑が常態化している。2015年度、JR総武線の錦糸町ー両国間や、東京メトロ東西線の木場ー門前仲町間は混雑率が199%を記録した。混雑率が高い区間について、国土交通省は「無理をすれば新聞を読める」180%以下にする目標を掲げて」いる。