国の行政手続き身分証に
パスポートや免許申請
政府は、国の行政手続きに必要な身分証明を全てマイナンバーカードで行えるよう法整備を行う方針を固めた。各府省庁が所轄する手続きのうち、住民票や戸籍謄本の提出を法令で義務付けている事例を年内に洗い出し、来年の通常国会で一括して改正したい考えだ。住民票などを発行する自治体業務の効率化や、住民の利便性向上を進める狙いがある。政府の「官民データ活用推進戦略会議」(議長・安倍首相)が近くまとめる基本計画に盛り込む。
住民票などの提出を法令で定める国の行政手続きには、パスポートや運転免許証の申請などがある。パスポートは旅券法で戸籍謄本、運転免許証は内閣政令で住民票の提出が義務付けられており、現状ではマイナンバーカードを申請書類として使えない。
政府は、全府省庁を対象に同様の事例がどの程度あるのかを調査し、、マイナンバーカードでも身分証明を行えるよう規定を定める。法律の場合は来年の通常国会で一括改正し、省令などは所管省がそれぞれ改正を検討する方向だ。
紙媒体による身分証明は国の手続き以外でも一般的に使われており、自治体や民間もあわせると手続きの種類は2万件超とされる。政府としては、まず国の手続きで法整備し、自治体や民間事業者にも取り組みを促したい考えだ。自治体の手続きについては、住民票などの提出を不要とする条例改正案のモデルを提示することを検討している。