厚生労働省がまとめている特別養護老人ホーム(特養)の入居待機者数が3月27日発表の最新調査で大幅に減った。2016年4月時点で36万6千人。13年10月時点の前回調査に比べ3割減だ。施設が増えて入居できる人が増えたというよりも、新たに入居を申し込める高齢者の基準を厳しくして、要介護度の低い人を原則として外した影響が大きい。
特養は有料老人ホームなどに比べ入居者の自己負担が少ない一方、運営費の多くを介護保険で賄っているため財政の負担は重い。このため政府は15年4月に特養に入所できる人を原則、より手厚いケアが必要な要介護3以上の高齢者に限った。
比較的軽度の要介護1~2で特養に入れるのは、認知症など自宅で生活が困難な場合のみで「特例」という位置づけだ。これにより集計上の入所希望者は約7万1千人で前回調査から10万人以上も減った。ただ見た目の数字は大幅減でも、特養に入ることを希望しながら、統計に表れない潜在的な「待機老人」の問題が浮上している。