昔された理不尽な言動への怒りが、今でもときどきよみがえります。思い出すとイライラ、ピリピリ。相手に伝えるべき抗議も、怒りのあまり理路整然と伝えられないこともしばしば。喜怒哀楽の感情のなかで、「怒り」は最もやっかいなものかもかもしれません。この感情、どれだけの人がどうやって飼いならしているのでしょうか。
発散した方がいい?
今回アンケートの自由記述欄には、いつものおよそ3倍の回答が寄せられた。そのほとんどが長行。多くの人が積年の怒りをぶつけてくれたようだ。
「旅行代理店のミスでトルコに行けなくなった。ハワイなら今でからでも間に合うといわれ、旅行者の気持ちが全くわかっていないと思った。その後トルコにいくチャンスは二度となかった。書いていてまた腹が立ってきた」(京都、69歳女性)。神奈川の女性(46)は「就職した娘が、会社で嫌なことがあると、家族にぞんざいな態度をとる。親はサンドバックじゃない。いつまでもいると思うなよ!!」と現在進行中。
アンケートでは6割の人が「怒りをコントロールできる」と答えた。「相手のことを、こいつは人間ではない、駄犬だ、と思い込む」(大阪、57歳女性)、「シャドーボクシングする」(東京、53歳女性)など、方法は様々。
山梨の男性(63)は、ある経験がきっかけで怒りを制御できるようになった。「店長だった頃、店の掲示物が間違っており、社員に直せと命じた。社員は掲示と反対の方向に走っていき、支持に従わなかったと思った私は怒った。だがその社員は踏み台を持って戻ってきた。大いに反省し、その後は怒る前に原因を探すようにしている」
一方、制御できない派の言い分もごもっとも。「私は怒ってぱーっと発散させて、ぱーっと忘れるタイプ。黙ってしまうタイプの方が、たちが悪い。後者との付き合いは疲れる」(東京、28際女性)、「コントロール可能な怒りなど、怒りではない。管理不可能な感情が、怒り、である」(東京、48歳男性)。
「キレる老人」なる言葉が登場する昨今。「若い時に比べると、何でもかんでもイラついている」(千葉、61歳女性)という声もあったが、「若い頃は瞬間湯沸かし器だったが、じいさんになって相手の逃げ道を考えて怒るというテクニックができた」(神奈川、82歳男性)という人も。脳は老化するが、年の功がある。
とはいえ、心と体はつながっている。「怒りすぎてチアノーゼが出て、頭部MRIをとったら、脳梗塞のような画像が出た」(東京、38歳女性)という人も。怒りすぎにはご用心。