荷物いつでも受け取り
住宅販売後押し
急増する宅配便に対応し、住宅各社が戸建てにも宅配ボックスを標準装備する。大和ハウス工業などが宅配ボックス付きの戸建て住宅の販売を開始。普及が進むマンションでも、大京が通販の商品をいつでも受け取れる。宅配ボックスを兼ねた大型のポストを約8割の新築物件で用意する。昼間不在がちで荷物を受け取れない共稼ぎ・単身世帯を中心に、伸び悩む住宅販売を後押しする。
大和ハウス工業はさきごろ、日本郵便、ポスト大手のナスタ(東京・中央)と共同開発した宅配ボックス付きの戸建て住宅を埼玉県越谷市で売り始めたと発表した。
メールボックス付きの門柱に宅配ボックスを取り付けた。サイズは2種類で、寸法は最大で高さ55センチ、幅38センチ、奥行き33センチ。
宅配物をボックスに入れた業者は、内臓されたハンコで受領印をとる。。暗証番号を入力した上で扉を閉める。ボックスには集荷機能を持たせたほか、6月以降は事前に申し込めば書留郵便の受け取りも可能になる。
設置価格は25万~30万円とメールボックスのみの場合とほぼ同じ。東京都西東京都市などで計220戸分を売り出し、これから首都圏で販売する建売住に同ボックスを、標準設置する。
新築マンションには標準で設置されるケースが多いが、戸建て住宅での普及率は1%未満とみられる。戸建て住宅の桧家ホールディングス(HD)もナスタと宅配ボックスを共同開発。3月からこのボックスが付いた住宅を売り始める。
一方、普及が進むマンションでも1棟あたりの宅配ボックス数の不足が指摘されている。一般に総戸数の1~2割しか設置されておらず、午前中には全ロッカーが埋まってしまうケースもある。
大京は来年3月をメドに東京都千代田区で全戸分の宅配ボックス付きマンションを供給する。約50世帯分のメールボックスの下に宅配ボックスを併設した。宅配ボックス大手のフルタイムシステム(東京・千代田)と共同開発し、寸法は高さ24センチ、幅30センチ、奥行き45センチ。大型の宅配ボックスは別途用意する。今後は宅配ボックスの未設置マンションに対しても設置の提案を促していく。
国土交通省によると、2015年度の宅配便の取扱個数は約37億個で10年前から27%増えた。このうち2割が再配達に回り、年9万人分の労働力が費やされているとされる。宅配業者の人手不足を引き起こす一因になっている。
宅配ボックスを供給するパナソニックは昨年11月、福井県で実証実験を始めた。宅配ボックスを100軒に無償で設置し、ドライバーの人手不足の解消につながっているのかを検証している。