首都圏には「東京ディズニーリゾート」という最強のテーマパークがある。ブランド力ではとてもかなわないハワイアンズがめざすのは、身近で親しみやすさがあり、「親子3代」がゆったりと楽しめるようなリゾートという。
看板の「フラガール」でも、あの手この手で追い風を作ろうとしている。
フラガールの木野田舞子は昨年8月、震災後の全国公演を引っ張ったリーダーを継いで、新しいキャプテンに就いた。第44期生。フラガールを養成する常磐音楽舞踏学院でダンスや声楽、華道の修業を積み、入学から3ヵ月でショーに出演。今年1月にはソロデビューを果たした。
地元のいわき市で生まれ育った。物心がつく前からハワイアンズに来て、プールで遊んだ。小学生の時に初めてフラガールのショーを見てとりこになった。高校生の時、ソロダンサーが華麗に踊る姿に、自らの将来を重ねあわせた。フラダンスの教室に通い、大ヒットした映画「フラガール」が06年に公開された後に入社。にぎやかなハワイアンズしか知らなかった。
原発事故で1ヵ月間、自宅待機を強いられた。だが、その後は「全国きずなキャラバン」で、国内外125ヵ所の公演。立ち止まることなく、踊り続けた。そして、11ヵ月後の全面再開。「あの日の風景と声援は忘れられない」
昨年は新たなファンの獲得につなげようと、フィージーやイースター島などハワイ以外の新しいダンスを取り入れて幅を広げた。木野田は「フラダンスを楽しむ人が増えている。私たち自身もどんどんレベルアップしないといけない」
他にも、両端に火をつけた棒をバトンのように操るファイヤーナイフダンスの男性チーム「シバオラ」をつくり、ショーの花を添える。今年も、子どもが喜ぶような新たな施設の導入を計画している。
木野田は言う。「伝統を受け継ぎながらも、どんどん新しいハワイアンズをみせたい」