「復興特需」足踏み集客増へ新規格
「フラガール」で知られる福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズ。2011年3月の東日本大震災と原発事故後、いち早く客足を取り戻し「復興のシンボル」と呼ばれた。震災から6年。追い風が弱まるなか、「復興の先」をにらんだ取り組みが始まった。
昨年12月、リゾート内にあるホテルの玄関。宿泊統括支配人の郡司昌弘(55)は、パイナップルのかぶりものに腰みのをまとい、団体客を出迎えた。
親指と小指を立てて振るハワイのあいさつ「シャカブラ」をしながら、子どもたちに「アロハー」と声をかける。リゾートに着くと同時に、ハワイの気分を楽しんでもらおうと、2年ほど前から始めた。その当時、郡司は危機感を募らせていた。集客が不安定になってきていたのだ。
12年2月の全面再開後、震災前の4分の1に減った日帰り客を、13年度には震災前の水準となる約150万人に回復させた。社員総がかりで企業などに手紙やメールを送ったり、首都圏の宿泊者を無料で送迎するバスを増やしたりした取り組みが集客につながった。
だが、14年から日帰り客は減り始めた。10年度より約15万人増えた宿泊客も16年度は前年を下回りそうだ。「復興特需」がなくなったいま、郡司は「ハワイアンズの本当の実力が試される」と覚悟する。
ひとつの目玉は15年夏にオープンした「フィッシュゴーランド」。一周130メートルの流れるプールのまわりに熱帯魚やサメが泳ぐ水槽を置き、海中にいるような気分にさせる仕掛けだ。