新法成立、悪質業者に罰則
悪質な民間の養子縁組斡旋業者を排除するため、事業の届け出制から都道府県知事にによる許可制とする「養子縁組児童保護法」がさきごろ衆議院本会議で全会一致で可決、成立した。自民、公明、民進など与野党の6会派が議員立法として国会に提出していた。2年以内に施行される。
新法は、自治体は事業者の財政基盤や非営利目的であることを確認した上で許可を出すと規定。許可を得た事業者には国や自治体が財政的な支援をすることも可能とし、無許可で斡旋した場合は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。
出産費用や交通費などの実費は、厚生労働省令で「手数料」と定めて受け取りを認めるが、それ以外の報酬を得ることは禁止している。これまでの届け出制では、「誰でもできる」と批判され悪質な業者が問題になっていた。
厚生労働省によると、昨昨年10月時時点の届出し業者は22。大阪市の事業者がインターネット上で「人身売買」との誤解を招く表現で実親を勧誘したとして、市から繰り返し行政指導を受けながら是正しない事案があった。
養親らとの間で不透明な金銭のやりとりが疑われるケースもある。千葉県警は昨年11月、営利目的で不正に現金を受け取った疑いがあるとして、児童福祉法違反の疑いで同県四街道市の斡旋業者「赤ちゃんの未来を救う会」(解散)を強制捜査している。
埼玉県児童相談所での勤務経験もある文京学院大の森和子准教授(児童家庭福祉)は「事業者の質を担保するため、法制定は重要だ。ただ養子縁組は普通の子育ての何倍も大変で、その後の支援が大事。養子が自らの出自を知る権利の保障についても検討していく必要がある」と話していた。