がんや脳卒中
厚生労働省の有識者検討会(座長=祖父江友孝・大阪大学教授)は、がんなど22種類の病気の発症や病気による死亡の原因として喫煙が「確実」との判定結果をまとめた。他人のたばこの煙を吸う受動喫煙でも7種類の病気で因果関係があるのは確実とした。国の検討会が日本人への影響を総合的に判定したのは初。さきごろ最新情報と対策を盛り込んだ報告書(たばこ白書)案を公表した。
厚労省検討会「確実」
厚労省は報告書案を踏まえ、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたたばこ対策を推進したい考え。
報告書案では、国内外の喫煙と健康に関する論文約1600件を分析。喫煙との関係の度合いを病気ごとに4段階で判定した。肺や膵臓など10種のがんのほか、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などと喫煙の関係について、最高の「推定する証拠が十分(確実)」と評価した。認知症や関節リウマチとの関係は「確実」に次ぐ「可能性がある」とした。
受動喫煙について、子供のぜんそくや乳幼児突発死症候群との関係は確実と評価した。肺がんへの影響は、国立がん研究センターが行った研究結果を採用。家庭での受動喫煙がある人は、ない人に比べ肺がんになるリスクが1.3倍高まり、因果関係は確実とした。
今後の喫煙対策について報告書案は、受動喫煙を防ぐため「喫煙室を設置せず屋内の100%禁煙化」を目指すように訴えた。このほか、たばこ税の引き上げ、たばこの広告の禁止など総合的な対策を求めた。