こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
株主優待制度を新たに導入したり、拡充したりする企業が増えている。2015年に導入された上場企業の行動指針「コーポレートガバナンス・コード」は、取引先などと株を互いに持つ「持ち合い株」の解消を求めている。企業側は株主優待を充実させることで、安定した株主として期待できる個人投資家を増やしたい考えだ。
1327社同導入、上場企業の33%に
野村インベンスター・リレーションズ(IR)によると、7月末時点で株主優待の導入企業は過去最多の1327社に上り、全上場企業の33%を超えた。
横浜銀行と東日本銀行が経営統合して今年4月に誕生した「コンコルディア・フィナンシャルグループ」は、定期預金の金利を上乗せする株主優待を導入した。横浜銀行ではこれまで株主優待を実施していなかったが、統合を機に採り入れた。サッポロホールディングスは今年、ビールの詰め合わせなどを贈る株主優待の対象を広げ、より少ない株の保有者も優待を受けられるようにした。
株を長く保有する株主を優遇する企業も増えている。
合成樹脂繊維大手の萩原工業(岡山県倉敷市)は、保有期間が3年未満の株主には保有株数に応じて1000~3000円相当の商品を贈るが、3年以上保有の株主は2倍の金額の商品となる。
企業が株主優待を充実させるのは、安定株主となってくれる個人投資家を増やしたいためだ。
個人投資家は、企業の事業方針や経営体制に反対することが少ないとされ、企業が減らし始めた「持ち合い株」に代わる安定株主の役割を期待されている。
野村IRの井田佳宏氏は「安定した個人株主を増やすことは、株価の下支えにもつながる。株主優待を採り入れる企業は今後も増える」と指摘している。