80自治体に1.4万人
認可保育所などに入れない今年4月時点の待機児童数について、朝日新聞社が全国の主要自治体を調べたところ、回答した80自治体で計1万3991人いた。34自治体(42.5%)で前年より増加。政府が求めた保育士配置や面積基準の緩和を予定するとしたところはなく、この対策は空振りしそうだ。目標とする2017年度末までの「待機児童ゼロ」達成の厳しさが、改めて浮き彫りになった。
保育緩和要請「応じる」ゼロ
調査は20政令指定都市と東京23区、これ以外に昨年4月1日時点で待機児童が100人以上いた39市町の計82市区町を対象に実施。80自治体(97.5%)から回答を得た。
待機児童の合計は前年より654人(4.5%)減ったものの、依然として高水準だ。東京23区は526人(10.9%)増の5358人で、都市部での増加が目立つ。保育施設に入れずに親が育休を延長した場合などを自治体が待機児童として数えなかった「隠れ待機児童」は朝日新聞の集計で計4万3105人いた。
待機児童が最も多かったのは東京都世田谷区で、前年より16人増の1198人。東京都千代田区や名古屋、京都など7市区がゼロ。「隠れ待機児童」の最多は3110人の横浜市(待機児童7人)で次が2548人の川崎市(同6人)だった。
政府は3月、一人の保育士がみる子どもの人数や子どもも1人あたりの保育スペースについて、国の基準より手厚い独自基準を設ける自治体に国基準まで緩めるよう求めた。これに対し、回答した中で独自基準がある55自治体のうち、48自治体が「緩和予定はない」、6自治体が「検討中」、1自治体が未回答で、現時点で緩和に応じる自治体はゼロ。「保育の質」の低下を懸念する意見が多かった。
政府は保育士不足解消策として、給与を2%(月平均6千円)上げるとした。これには46自治体(57.5%)が「不十分」と回答した。