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2016.07.25更新

270社参入契約切り替え0.6%

 家庭が電気の購入先を自由に選べる電力小売りの全面自由化が4月に始まった。都市ガスや通信会社など多様な企業が参入し、サービスの向上や値下げが期待される。ただ、新規参入事業者に契約を切り替えた家庭はわずか0.6%にすぎない。新プランに切り替えなくても、大手電力とのこれまでの契約が継続されるため様子見を決め込む家庭も多く、自由化初日は静かなスタートとなった。
 「便利でお得なサービスはもちろん、新しい生活体験を供給したい。東京急行電鉄系の新規事業者、東急パワーサプライの村井健二社長はさきごろ、都内で開いたイベントでこうあいさつすると、電球型のモニュメントを点灯させ、笑顔で販売力をPRした。
 自由化を受け、東京ガスや大阪ガスなどの都市ガス、KDDといった通信会社など270社が新規参入した。本業のガスや通信とのセット販売による割引など多様なサービスをアピールする。

 一方、大手電力も新料金プランで対抗し、これまでの地域の垣根を超えた販売にも乗り出した。4月1日発足した東京電力ホールディングス(HD)の広瀬直己社長は「自由化後も勝ち残っていく」と宣言した。
 だが、自由化初日は一部でトラブルに見舞われた。電力会社が余剰電力を売買する日本卸電力取引所が3月31日の午後10時ごろ、通信トラブルで電力取引を一時中止。取引は1日午前6時に再開し電力供給に影響はなかったが、林幹雄経済産業相は1日、「大変遺憾だ」と苦言を呈した。全国で電力の需給を調整する電力広域的運営推進機関は1日、新規事業者に切り替えた全国の家庭は3月25日時点で37万8400件になったと発表した。需要の大きな首都圏は新規事業者が多く、旧東電管内での切り替えが6割を占める。逆に地方は新規参入が少なく、自由化の恩恵を感じにくい。ただ、切り替えたのは全契約数(6260万件)のわずか0.6%にとどまる。
 電力会社による競争の激化でサービスの向上が期待される。半面、料金メニューが複雑になることも否めず、ひとまず静観を決め込む家庭も多いようだ。


さきごろ、東急パワーサプライのイベントに参加した主婦(44)は「契約の切り替えを考えているが、手間が掛かるのではと不安だ。どうすれば電気代が下がるか見極めたい」と話した。東京ガスのガス器具販売店「東京ガスライフバル調布狛江」(東京都調布市)では、「キャンペーンの駆け込みで3月31日は10件の契約があった」(担当者)が、1日は契約がゼロだったという。
 野村総合研究所が3月中旬に行ったアンケートによれば、約60%の家庭が「電気の購入先の変更を検討していない」と回答。理由としては「特にメリットがない」「しばらく様子を見たい」などが多い。
 同研究所は「多様な料金メニューと分かりやすさの両立がもとめられている」と指摘する。

投稿者: 松村税務会計事務所

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