北海道4ヵ所も一括で
国交省方針
国土交通省は新千歳など北海道内の4空港の運営を2020年にも一括して民間委託することを目指す。年内には関西国際空港や仙台空港でも民間企業による運営が始まり、空港民営化の動きは全国に広がっている。訪日客が急増する中、民間のノウハウを生かし、利用者のさらなる増加を図る狙いだ。
北海道での民営化は、国が管理する新千歳、稚内、釧路、函館の4空港が対象となる。新千歳空港の15年の利用者は2045万人に上る。14年の利用者は羽田、成田、福岡に次ぐ4位で国内屈指の人気空港だ。このため混雑が激しく、航空会社の乗り入れ希望が認められにくくなっている。
国交省は4空港の運営をまとめて委託すれば空いている空港の着陸料を引き下げるなどして需要が分散され、道内各地の活性化につながると期待する。道内には国が管理する空港のほかに、道が管理する中標津や女満別など6空港や旭川市と帯広市が管理する2空港がある。国交省は自治体が希望すれば、国と同じ民間事業者に委託できるようにする考えだ。
全国では空港運営の民間委託が進む。
関空と大阪(伊丹)空港では今年4月、国が100%出資する新関西国際空港会社から、オリックスなどが作る「関西エアポート」に運営が移った。新会社は空港外にも商業施設を拡張し、着陸料以外の収入を増やす方針だ。新会社に出資する仏空港運営会社「ヴァンシ」のネットワークを活用し、国際路線を誘致する。
仙台空港では7月から、東京急行電鉄などが作る新会社「仙台国際空港」が運営を担う。着陸料は期待の重さなどできまるのが一般的だが、新会社は利用客が少ない便を安くする料金体系を導入し、新規就航を促す。空港と観光地を結ぶバス路線もバス会社と協力して整備を進める。福岡空港でも19年度を目指し、運営権売却が計画されている。
ただ、国交省の試算によると国が管理する26空港のうち、14年度は8空港が実質的に赤字だった。運営が民間になったとしても、コストを下げるだけでなく、乗降客や利用者を増やさない限り収益増は見込みにくい。人気路線のない空港の場合は、運営に名乗りを上げる企業が現れない可能性もある。
三井トラスト基礎研究所の福島隆則氏は、「民営化がうまくいくには、施設などを引き続き保有する国などの協力は不可欠だ。自然災害などのリスクも民間には負担が重い」と指摘している。
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