「環境に優しい事業」復興に弾み
東日本大震災の津波で大きな被害に遭った宮城県南三陸町の志津川湾のカキ養殖が、世界自然保護基金(WWF)が設立した「水産養殖管理協議会(ASC)」の国際認証を日本で初めて取得する見通しになったことが先ごろ分かった。環境に負担をかけず持続可能な水産物養殖の取り組みに与えられる国際的なお墨付きで、三陸沿岸の漁業の本格復興に向けても弾みがつきそうだ。
国際認証の対象となるのは、宮城県漁協志津川支所の戸倉出張所が所有する養殖場やカキ処理場。今季は漁師38人が100〜120トンの出荷を目指している。
同漁港は津波で養殖場などが流失。震災後はもとに戻すだけでなく持続的な養殖漁業を目指し、養殖いかだの数を減らした。これにより、カキの栄養状態が良くなり、2〜3年かかっていた収穫までの期間が1年に短縮されただけでなく、生産コストが下がり、単価も上昇した。海洋環境への負担も軽減され、設備の簡素化で災害から復旧しやすいメリットも生じた。
ASCは本部をオランダに置き、乱獲や海洋汚染を防ぐ目的で2010年に設立。環境に負担をかけない養殖漁業の基準などを定め、国際認証を行っている。認証を受けると、環境に優しい水産物であることをアピールできる。同漁業は平成25年から認証を視野に取り組みを進め、昨年11月に本審査を受けていた。
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