育児をする女性確保狙う
早朝・深夜も対応
こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
王手製造業の工場内や近くに、保育所を設ける動きが広がっている。企業は労働人口の減少をにらみ、男性中心の職場だったものづくりの現場で働く女性を増やしており、育児支援が必要になってきたためだ。女性の採用増につなげたい思惑もある。
鉄鋼大手のJFEスチールはさきごろ、千葉市の東日本製鉄所(千葉地区)の近くにある独身寮跡地に、保育所をつくると発表した。今秋に工事を始め、来春から受け入れを始める予定だ。定員は50名で、うち12人分を地域住民にも割り当てるという。
狙いは人材確保だ。製鉄所の製造現場に女性を入れ始めたのは2014年の新入社員から。140人のうち、13人が女性だった。
少子化で、これまで男性中心の採用では仕事が回らなくなる恐れがある。北野嘉久所長は「優秀な人材を確保するためには、工場でも出産後も働き続けられる職場環境の整備が不可欠」と話す。採用目標にしている「女性の比率10%」の確保のためにも、保育所が必要だと考えた。
厚生労働省によると、企業や病院が事務所や工場につくる保育所の数は14年3月の時点で全国に4480ヶ所あり、約7万人の児童が保育を受ける。この10年で1100ヵ所増えた。
だが、製造現場では製鉄所のように24時間稼働する現場も多い。企業や病院から全国173ヵ所の保育所の運営を受託する大手のサクセスアカデミーによると「病院などでは24時間保育が多いが、工場での例は少ない」状況だ。JFEは交代勤務の現状を考え、将来は深夜保育の実施も視野に入れている。
製造現場での保育所の充実は他社にも広がる。トヨタ自動車系列で自動車シートなどをつくるトヨタ紡織は昨年4月、愛知県豊田市にある主力工場内に保育施設をつくった。社員の要望に応えた形で、託児時間は午前7時から午後8時半まで。工場勤務に対応して早朝や夜間も預けられるようにした。
切削工具のユニオンツールも、新潟県長岡市の工場内に17年春の予定で保育所をつくっている。工場の機械化が進んで男女問わず働きやすくなり、「採用を増やすための攻めの施策」と位置づける。
ただ、保育所を置くだけで解決するとは限らない。神戸製鉄所は、兵庫県の加古川製鉄所に業務委託し、女性従業員を対象に06年から24時間保育を始めた。深夜の交代勤務がある職場で働く女性は現在19人いる。だが、保育所利用は2人にとどまる。広報担当は「深夜勤務をしながら育児をする女性従業員をどう支援するかが課題」と話す。
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