2016.02.29更新
農地に植物工場全国で
こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
農林水産省は2016年度から植物工場を建てやすくする。現行の法令は農地に建てられることを明文化していない。建てられるかどうかの判断は自治体任せで明確な基準や指針もないため、実際には地価の高い住宅地や工業地に建てられる例が多い。省令で農地に建てられることを明確に示し、全国の自治体で建設を解禁する。生産コストを引き下げ、耕作放棄地の有効活用や企業の農業参入も促しそうだ。
農水省、今春に全面解禁
企業参入追い風
植物工場は季節や天候に左右されず、安定した数量を生産できる。無農薬レタスやトマト、糖度の高いイチゴなども栽培しやすい。企業や大規模な農業法人が手掛けることが多く、2015年3月末には4年前の3倍に増えた。
農水省は全農地の9割を占める「農用地区域」で植物工場の建設を認める。今年度内に農業振興地域整備法のの省令を改める。
同区域は地方自治体が農地を守るために指定しており、全国に474万ヘクタールある。勝手に農業以外の用途に使うことはできない。植物工場については自治体が個別に建設できるかどうかを判断している。企業などには「不許可となれば準備が無駄になる」と建設をためらう動きがあり、普及の妨げとなっていた。
規制を緩めるのは富山県の面積に匹敵する42万ヘクタールもの耕作放棄地の活用につなげるためだ。
耕作放棄地は土壌が荒れたり用水路が老朽化したりしており、耕作を再開するのは簡単ではない。植物工場ならば問題はない。
輸出拡大につなげる狙いもある。植物工場は無農薬のレタスなど付加価値の高い農産物を作りやすい。これらの農産物はアジアを中心に海外での人気も高い。
課題は採算だ。植物工場を建設するのには数千万〜数億円の投資が必要とされ、空調や電気代もかさむため露地栽培の2倍のコストがかかるとの試算もある。
日本施設園芸協会の調査では植物工場の約6割が赤字という。収量を増やす栽培技術の開発や販路開拓も重要になりそうだ。
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