賠償請求めぐり国の方針見えず
税と社会保障の共通番号(マイナンバー)の運用が2016年1月1日に始まった。全国400万社に上る企業は、源泉徴収票や法定調書の作成などのために従業員から番号を収集し、保管しなければならない。万が一サイバー攻撃などで番号が流出した場合、企業の責任はいかに問われるのか。国に問い合わせると「司令塔不在」よいう残念な現状が浮かび上がった。
マイナンバー制度が始まると、全国の市区町村から国民の一人ひとりに「個人番号カード」が交付される。発行手数料は1枚1000円。初回の発行に限り、国が肩代わりする。その後、カードを紛失するなどして再発行しなければならなくなった場合は、手数料は自己負担となる。
問題は、勤務先が自分の番号を流出させてしまった場合だ。悪用される恐れがあると自治体が判断すれば、番号を変更しカードを再発行しなければならなくなる。このケースは紛失と違って、本人には過失はない。国は個人に負担を求めず、発行手数料を肩代わりすることにしている。
数万人規模の大企業が従業員の番号をすべて流出させれば手数料の総額は数千万円に達する。国が負担するといっても、その費用の原資は国民の税金だ。
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