頼りは保険
企業にとって「ストレスチェック制度対応」が門前の虎なら、「メンタル不調対応」が後門の狼。ストレスチェックによりメンタル不調の早期発見は可能になるが、一方でその分、対策の実施に追い込まれ、当該従業員から訴えられるリスクも高まる。そうでなくても、精神障害にかかわる労災請求も、支給決定件数も増加傾向。損害賠償額も高額化している。
「弊社は従業員との信頼関係が厚いから」と話す中小企業経営者は多い。だが、信頼関係もメンタル不調が出ると崩れやすい。
「厚生労働省は労働者を守る法律を作る。経営者を守ってはくれない」(労務リスクアドバイザー)。当然のこと。経営者は自ら防備策を張り巡らせなければならない。頼りは「就業規則と保険」になる。
就業規則に、採用時に自筆のメンタル疾患がないことを示す契約書をとったり、しっかりした試用期間の定めを策定したり、また、会社にとっても、労働者にとっても安心できる休職・復職制度をつくる必要がある。
とはいえ、労災訴訟で会社側が勝つのは難しい時代。結局、防備に決め手は保険になる。日本商工会議所は2012年から売上高方式の業務災害補償共済を大手損保3社(現4社)と組んでスタート、オプションでメンタルヘルスにも対応している。東京商工会議所は、独自の人数方式の業務災害補償共済に新たなハラスメントなどに対応する雇用慣行賠償責任やメンタルヘルス対策費用などの補償特約を盛り込んだ業務災害補償共済をスタートさせた。
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