費用全額会社持ち
負担増
メンタル不調者の増加は食い止めなければならない。多くの場合、「まじめで、仕事熱心、成績のよい人がなりやすく、企業にとって痛手となるからだ」。だが、実施理由をメンタル不調を未然に発見しリスクを少なくしようとしているのだと説明しても、多くが結果を人事に使われることを恐れ、受けない傾向にある。また、一方で労働者に受診義務はない。
厚生労働省は「全て受検することが望ましい」としている。ただ、役所用語の「望ましい」は難解。1回から3回程度、勧奨すればいいのではないかと見通しを話す人もいるが、定かではない。
ストレスチェック制度の実施状況は地元の労働基準監督署に報告する。「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出するが、添付資料や口頭説明が必要なのかどうか分からない。
報告書提出だけなら、制度は形骸化しやすい。とはいえ、説明などを求められ、労基署から受検率が低い、勧奨回数が少ないなどの指摘を受ければ、「ブラック企業」のレッテルでも貼られかねず、企業存亡に関わる。
また国が決めたことだが、制度遂行費用は全額会社もち。「従業員が従業員のために受検。まったく情報もはいらないのに」との不満は多い。ストレスチェック項目はモデルを国が提示、問題が生じれば、規模の大きな企業は主に産業医が事後対応する。規模の小さな企業は専門業者に丸投げしなければならない状況にあり、業者も乱立気味。
現状では「扱うレベルによって一人当たり300円から3000円程度の幅がある」と東商のせミナーで講師を務めた三井住友海上保険の向井孝行経営リスクアドバイザーは話す。業者選定の判断も難しい。
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