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2015.11.13更新

懐かしさと清潔さ

 デザインも多彩だ。東急田園都市線の池尻大橋から徒歩約5分の1982年創業の「文化浴泉」(目黒)は隠れ家和食店のような構えだ。
 ロビーにアジアンテイストを盛り込み、利用客の長期滞在を促す。茶色のタイルの浴室では照明によって浴槽をきわ立たせ、壁には円形の額縁に富士山の絵が描かれている。
 2011年のリニューアル後は毎週水曜日の夜になると、文化浴泉は十数人の20〜30代の男女がにぎわう。仕事帰りに集まって約1時間、周辺をランニング。その後、銭湯で汗を流す「銭湯プラン」と呼ばれるグループだ。メンバーで世田谷区の会社員、瀬戸俊介さん(31)は「非日常間を味わいながら、仲間とわいわい盛り上がるのが楽しい」と笑顔で話す。
 東京メトロ表参道駅(港)から約3分。ファッションや飲食、雑貨、美容関連の店が立ち並ぶ街並みに美容院のようなたたずまいの「南青山・清水湯」は溶け込んでいる。イタリアやスペイン製などのタイルを使った浴槽ではジャズが流れ、風呂あがりにはベルギービールも楽しめる。客層の半分以上は10〜30代の若い世代が占めているという。
 ログハウスのカフェのような外観の「ふくの湯」(文京)は11年にリニューアルした。浴室には落ち着いた間接照明の中で、現代風にアレンジされて描かれた七福神が際立つ。
 「戸越銀座温泉」(品川)の浴室の壁面にも富士山の絵だけでなく、ポップな七福神が描かれ、懐かしくも新しい銭湯を演出している。
 銭湯の廃業は後を絶たない。全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会(千代田区)によると、14年度の全国の公衆浴場は2801軒と、00年度に比べて約6割も減少した。
 だが、銭湯に詳しい京都府立大の大場修教授は「若い世代にとって銭湯は非日常的な場。話題性と集客効果が期待できる」と分析。銭湯のリニューアルを手掛ける今井健太郎建築設計事務所は「長年の利用客を大事にしながらも、若者客を取りこむ現代的な感覚が必要」と指摘する。スタイリッシュな雰囲気は銭湯にかつてのにぎわいを取り戻す大切な仕掛けだ。

投稿者: 松村税務会計事務所

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